ひと昔前は「珍しい」と言われたものですが、今では国際結婚は珍しくありません。しかし、いくら愛し合う2人の結婚であっても、国籍や文化、習慣が異なるカップルが結婚する場合、法律や手続きに起因する課題が生じることがあります。今回は、オーストラリアで国際結婚をする際の注意点と対策について解説します。
ビザと移民手続き
国際結婚をする場合、移民に関する法的手続きは大きな課題となることがあります。以下は主なビザと手続きの概要です。
パートナー・ビザ(Partner Visa)
オーストラリア人またはオーストラリア永住権保持者と結婚する配偶者が申請できるビザ。
・証明書類の準備:2人の関係が真剣で真面目な関係であることを示すために、同棲生活の証拠や写真、共同財産の証明などが求められる。
・手続き期間:ビザの審査には数カ月から数年掛かることがあるため、早めに準備を始めることが重要。
・ビザ申請料:2024年11月現在、9,095ドル。
文化的・宗教的違い
異なる文化や宗教を背景に持つカップルは、価値観や慣習の違いが課題になることがあります。例えば:
・結婚式の形式:伝統的な儀式や習慣について双方の家族と話し合うことが重要。
・言語の壁:コミュニケーションを円滑にするために、言語学習や通訳のサポートを検討。
・子育て:子どもの宗教教育や文化的なアイデンティティーについて事前に話し合う。
法律的取り決め
国際結婚において、財産や子どもに関する取り決めは特に慎重に行う必要があります。
・婚前契約(Prenuptial Agreement):財産の保護や離婚時の財産分与を明確にするため、婚前契約を検討することを推奨。
・親権の問題:国際的な親権争いが発生する可能性があるため、子どもの居住国や養育権について事前に取り決めることが重要。
国際的な法律の違い
異なる法制度が関与するため、以下の点に注意が必要です。
・婚姻の合法性:オーストラリアでの結婚が他国でも法的に認められるかを確認。
・離婚手続き:国際結婚の場合、離婚手続きが複雑化する可能性があるため、どの国の裁判所に申し立てを行うべきか、子どもや財産の分配に関する問題が発生することも視野に入れる。
国際結婚を成功させる(?)ためのアドバイス
オーストラリアでの国際結婚には、法的手続きや文化的な違い、家族間の調整など、特有の課題が伴います。しかし、適切な準備と相互の理解を深めることで、これらの課題を乗り越え、充実した結婚生活を築くことができます。専門家のサポートを活用し、慎重に計画を進めてください。
1. 法的手続きを理解する
移民法や婚姻法に精通した弁護士や移民代理人に相談することを推奨。
2. オープンなコミュニケーション
言語や文化の違いに配慮しながら、互いの期待や価値観を話し合う時間を設ける。
3. 文化の違いを尊重する
お互いの文化的背景や家族の伝統を尊重する姿勢を持つ。
4. 時間を掛けて計画する
特にビザや移民関連の手続きは時間が掛かるため、早めに計画を始めることが重要。
アドバイザー
清水 英樹
オーストラリアQLD州弁護士。在豪30年以上。地元大学卒業後、弁護士資格を取得。フェニックス・グループCEOとして傘下にあたる「フェニックス法律事務所」、ビザ移民コンサルティング「Goオーストラリア・ビザ・コンサルタント」、交通事故ならびに労災を専門に扱う「Injury & Accident Lawyers」を経営