Q: イヤー6の子どもがいます。来年からハイスクールですが、体が弱く長期に休むことがあります。将来ちゃんとHSCを受けられるか、卒業できるかが心配です。授業時間が足りない場合、他にHSCを取得する方法はありますか?
たいていの生徒は、小学校とハイスクールの過程を12年間(キンディを入れると13年間)で終了しますが、事情によってそうではない子どももいます。例えば、質問者のお子さんのように病弱で学校を休みがち、または長期療養する、家族の世話をしなければならない、経済的な理由で学校に通えない、知能が高く同年代と一緒に勉強するのが難しい、スポーツや文化活動に秀でていてその活動に参加するため忙しいなどさまざまです。
そのような生徒がHSC(Higher School Certificate=NSW州とACTで大学に進学するために受ける試験)を取得できるように、さまざまな状況を鑑(かんが)みた以下の5つの方法が用意されています。
1. 積み立てる方法
できなかった分の教科をハイスクール終了の年から最長5年まで続けて勉強することができます。
2. 繰り返す方法
5年以内に1つ以上のコースを「積み立て」の方法に従って繰り返すことができます。ペナルティーなどがなければ、大学入試センター(UAC)は、最新のHSCの結果に基づいてATAR(Australian Tertiary Admission Rank=HSCの成績を基に算出されるオーストラリアの大学入学に必要なランク。試験を受けた全学生の中でのランクを示したもの)を計算します。
3. 単位の移行と事前学習として認定する方法
TAFEやその他の学校以外の教育機関で受講したコースの単位数を、HSCに単位互換として数えることができる場合があります。または、州をまたいで勉強するなど別の方法で必要な成果を達成したことを証明すると、HSCの一部のコース内容を完了する必要がなくなる場合があります。
VET(Vocational Education and Training=職業教育訓練のことで、特定の専門分野で即戦力となるスキルや知識を習得する)コースの場合、HSCコースの一部またはコース全体に適用される場合があります。
一般の教科の場合は、イヤー11のpreparatoryコースかその一部、またはイヤー12のHSCコースの一部に適用される場合があります。
4. 早期開始の方法
イヤー12になる前にHSCコースを修了し、そのコース、例えば数学のHSC試験を受けて
結果を貯めておくことができます。VETコースに関しては、イヤー9またはイヤー10の間に
ステージ6(イヤー11、12)のVETコースを始めて、HSCの単位として貯めておくことが
できる場合があります。
5. 学校ベースの見習いや研修の方法
学校で勉強している間に見習いを始めたり、研修を修了したりすることができます。
学校ベースの見習いや研修は、有給の仕事と訓練、そして学校での勉強を組み合わせたものです。各分野の業界で認められたVET資格を取得して、HSCの単位を取得することができます。
いずれの場合も、まずはクラスやキャリアの先生に相談してみましょう。
このコラムの著者

内野 尚子
1996年来豪。デイケア、プリスクールにて教師、authorised supervisorとして12年間従事。平行して2004年、同志とNSW州補習校を立ち上げ、代表兼教師として8年間運営に携わる。07年、Universal KIDS設立し、18年間で2歳から18歳までの児童約1500人を教授する。24年12月を以て教室での対面レッスンを終了したが、25年以降はオンライン教育相談は継続中。コロナ禍においては、保護者のためのオンライン・スクールを開設し、子育てをサポート。
Web: https://www.facebook.com/universalkids.com.au