「オーストラリアと日本は地政学的に固く結びついている」トニー・アボット元・豪州首相が語る日豪関係の未来──本紙独占インタビュー

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 大手法律事務所ジョンソン・ウィンター・スラテリー本社(シドニー)で9月下旬、同事務所とTMI総合法律事務所(東京拠点)により開催されたイベントに元オーストラリア首相のトニー・アボット氏が登場した。本紙はイベント中、アボット氏に単独インタビューを敢行。日豪関係について見解を伺った。
(取材:日豪プレス)

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──首相としての在任期間を振り返って、戦略的にも文化的にも、オーストラリアと日本の関係の発展をどのようにご覧になりますか。

 両国の関係は常に強まっていると感じます。その一因は、日本がエネルギー安全保障の面でオーストラリアに信頼を寄せていることにあります。さらに近年は、オーストラリアと日本が、ますます不安定化する地域の中で「戦略的な確実性」を求め合う関係になってきていると感じます。

 その不安定さの背景には、中国(北京)が周辺国に対していっそう攻撃的な姿勢を強めているという現実があります。地理的にも、共通の利益や価値観の面でオーストラリアと日本は固く結びついています。まさに地政学が二国を結んでいるのです。

──オーストラリアと日本の両国はインド太平洋地域でどのように関わるべきだとお考えですか。

 インド太平洋全体が中国の野心の影響下にあることを考えると、「今、何が起きているのか」という情報の共有、そして「どう対応するのか」という行動の両面において、両国が緊密に連携することが重要だと思います。オーストラリアは南太平洋で起きているあらゆる事柄を日本に率直に共有すべきですし、同じように日本も東アジアでの出来事をオーストラリアと分かち合うべきだと考えます。

くつろいだ様子でディナー・イベントを楽しむアボット氏

──次の世代にとって、日豪関係における最も重要な協力分野をどのようにお考えでしょうか。安全保障、貿易、人的交流など、さまざまな側面があると思います。

 もちろん、どの分野も大切ですが、習近平の下でますます強硬かつアグレッシブになっている中国の現実を踏まえると、今後もっとも関係を深めていくべき分野は防衛と国家安全保障でしょう。

──在豪の日系コミュニティへのメッセージをお願いします。

 日本の方々は、オーストラリア社会に非常に素晴らしい貢献をされていると感じます。日本からの投資がなければ、オーストラリアは農業中心の経済から資源型経済へと転換できなかったことでしょう。

 今日のオーストラリアの発展は、現代日本の多大な貢献に支えられてきた部分が少なくありません。この関係が今後も末永く続くことを切に願います。

──ありがとうございました。

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