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知られざるトゥシューズの歴史/QLDバレエ団 合々香と弘平のグランパドドゥ

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QLDバレエ団
合々香と弘平のグランパドドゥ 第8回

知られざるトゥシューズの歴史

ブリスベン市内、大学構内のライトアップの下でポーズを取る筆者(Photo: Irving Neil Kwok)
ブリスベン市内、大学構内のライトアップの下でポーズを取る筆者(Photo: Irving Neil Kwok)

皆さん、こんにちは。QLDバレエ団の吉田合々香です。今回は、バレエの代名詞とも言える“トゥシューズ”について少々。英語圏でポイント・シューズ、フランス語圏ではポワントと呼ばれるこの靴は、女性バレエ・ダンサーが爪先立ちで踊るために生まれました。

妖精のような軽やかさの表現を追求して、トゥシューズが生み出される前の18世紀ごろまでは、なんとヒールの靴で踊っていたそうです。1730年代ごろに初めてヒールがない靴で踊るダンサーが出現。ヒールがない分、振り付けも徐々にダイナミックになり、早い動きや大きなジャンプも増えていきました。

1823年にイタリア人ダンサーが初めて、爪先で立って踊り、観客から喝采を受けたことで、多くのダンサーが強い刺激を受けました。1832年公演の『ラ・シルフィード』で、マリー・タリオーニによって公演の最初から最後まで爪先立ちで踊るバレエが演じられて以降、その爪先立ちの技法がバレエで必要不可欠なスキルとなり、トゥシューズも時代と共に素材や構造が進化していったのです。

現在は布、厚紙、皮を重ねて作られるのが主流。数え切れないほど存在するトゥシューズのブランドが持つスタイルから、足のサイズや幅、足裏のアーチの形状、硬さの好みまでさまざまなバリエーションの組み合わせの中で、自分に最適な靴と出合うのにはとても長い年月が必要になります。

まるで裸足で踊っているかのように自分の足にフィットする、そんな究極の1足に出合うため、多くのバレリーナは常に試行錯誤を繰り返しています。

このコラムの著者

吉田合々香(よしだねねか)/QLDバレエ団プリンシパル・アーティスト

吉田合々香(よしだねねか)/QLDバレエ団プリンシパル・アーティスト

金沢市出身。欧州に4年間留学後、2014年QLDバレエ入団のためにブリスベンに移住。平日はバレエ漬け、週末はお菓子作りや居心地の良いカフェでの時間を楽しむ。リラックス方法はおいしい和食を食べ、お風呂に浸かり、アロマを焚いてぐっすり眠ること。好きな映画は『ジュリエットからの手紙』。

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