豪州ビザ最新事情
よもやま話
今月は直接ビザに関する情報ではありませんが、移民コンサルティング業界にまつわる大改正に関してお話をしたいと思います。
登録移民代理人制度
これまでオーストラリア移民法により、オーストラリアの移民法に関するアドバイスをする場合には、「Office of Migration Agents Registration Authority(OMARA)」への移民代理人としての登録が必要でした。当初は比較的簡単な条件で登録が可能でしたが、現在は弁護士であれば特に付随条件なく登録が可能で、弁護士資格を有さなければ「Graduate Diploma」または「Graduate Certificate in Australian Migration Law and Practice and Capstone Assessment」が必要であるとされています。
こうした制度に対して、法律に関するアドバイスを行える弁護士がなぜ登録を必要とするのか、そして弁護士免許に重複して移民代理人登録費用が徴収されることに反対の声が何年も上がっていました。そうした声に応じ、今回の改正につながったようです。昨年、正式に法制化されたこの改正ですが、今年3月22日からOMARAの登録がなくても弁護士であれば移民法のアドバイスが行えるようになります。
業界の声
この改正に関しては、賛否両論いろいろな意見が上がっている状態です。移民弁護士が今まで移民案件を扱うために支払わなければならなかった登録費用の重複がなくなることを良しとする声もあれば、その反対に、今までの移民法を扱える弁護士としての差別化が今後はできなくなると懸念する声もあります。
弁護士以外の移民代理人にとっては、弁護士の誰もが市場に進出できるようになることによる競争の激化を懸念する声、移民法の経験の有無にかかわらず移民法に関するアドバイスができるようになることによる移民代理人業界の劣化を恐れる声など、さまざまです。
まとめ
もしコンサルティングを依頼する場合には、その弁護士または移民代理人が適正な知識と経験を有しているかを、消費者としても判断する必要があります。そのため、コンサルティングを受ける側も、尋ねる質問をきちんと用意し、弁護士または移民代理人の評判なども事前に確認することが必要になると思われます。
アドバイザー
清水 英樹
オーストラリアQLD州弁護士。在豪30年以上。地元大学卒業後、弁護士資格を取得。フェニックス・グループCEOとして傘下にあたる「フェニックス法律事務所」、ビザ移民コンサルティング「Goオーストラリア・ビザ・コンサルタント」、交通事故ならびに労災を専門に扱う「Injury & Accident Lawyers」を経営