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コロナ禍が影響及ぼす卒業生ビザ/豪州ビザ・法律最新事情

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豪州ビザ最新事情
コロナ禍が影響及ぼす卒業生ビザ

 卒業生ビザ(Temporary Graduate Visa /Subclass 485)は、特定の条件で基本的に2年以上、就学をした場合に、諸条件を満たすことで申請が可能なビザです。また、コースの修了日から数えて6カ月以内に、“オーストラリア国内”で申請することが条件の一つとなっています。

 そんな中、コロナ禍による渡航制限により、自国に一時帰国中の卒業生が再入国できないために、卒業生ビザの申請ができないという事態に陥っています。

 豪州政府はこれに応えるため、2020年9月、コロナ禍の影響で再入国できない卒業生で、かつ、12カ月以内に学生ビザを保持していた卒業生を対象に、オーストラリア国外からの卒業生ビザの申請、及び取得を可能とする特別措置を発表しました。

 これにより、卒業生ビザに関連する問題は解決されたかのように思えました。

 しかしながら、「卒業生ビザを申請する卒業生への特別措置が取られるのであれば、一時帰国中の“卒業ビザ保持者”への措置も取られるべきである」とし、1万5000人近くの卒業生ビザ保持者が中心となって、同趣旨の嘆願書が移民局に提出されました。

 そして、最終的に「卒業生ビザの期限延期や再申請を可能とするといった特別措置は取らない方向である」と政府から回答されることとなりました。

 卒業生ビザでオーストラリア滞在中に、就労経験を積みながら次のビザ申請を準備していく卒業生がたくさんいます。

 大学学士コース以上を卒業することで申請可能な「ポスト・スタディー・ストリーム」では、修了する学位によって、2年から最大4年の卒業生ビザを取得することも可能です。このため、卒業生にとってはたいへん貴重な時間になっています。

 しかし、3月末でジョブ・キーパー(Job Keeper)などの政府からの補助金が打ち切られてしまうことをきっかけに、今までは表面化していなかった実質失業率が増えるのではないかと予想されていることも事実です。

 オーストラリア人の雇用機会を奪うことにつながりかねない、卒業生ビザ保持者のビザ期間の延長などを認めないといった判断は、オーストラリア政府の立場としてはある意味では妥当なのかもしれません。

 国外に留まる卒業生ビザ保持者にとってたいへんつらい状況と言えます。

アドバイザー

清水 英樹

清水 英樹

オーストラリアQLD州弁護士。在豪30年以上。地元大学卒業後、弁護士資格を取得。フェニックス・グループCEOとして傘下にあたる「フェニックス法律事務所」、ビザ移民コンサルティング「Goオーストラリア・ビザ・コンサルタント」、交通事故ならびに労災を専門に扱う「Injury & Accident Lawyers」を経営

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