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睡眠時無呼吸症候群と顎(がく)関節症/体の痛み改善法

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フィジオセラピストに聞こう 体の痛み改善法
睡眠時無呼吸症候群と顎(がく)関節症

 睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に無呼吸(10秒以上呼吸が停止)もしくは低呼吸(10秒以上換気量が50%以下)になる状態を指します。

  • イビキ
  • 朝起きても疲労感が取れない
  • 日中の強烈な睡魔

 などを感じるようであれば睡眠時無呼吸症候群の疑いがあるでしょう。当院に顎関節の治療に来られる患者さんの多くが、イビキや歯ぎしりなどを自覚されています。

口呼吸が原因?

 イビキの症状がある人は閉塞性の睡眠時無呼吸症候群である可能性が高く、口呼吸を行っており、舌が気道を塞いでいる可能性が高いと言えます。

 本来、人は鼻呼吸を行い、上の前歯のすぐ後ろ辺りに舌の先が位置し、上下の歯は離れ、唇を閉じた状態が望ましいです。

 しかし、何らかの理由で舌が弱くなり、口腔内の下部に位置するようになると口呼吸を行うようになります。最初は花粉症や副鼻腔炎、風邪の鼻詰まりなどで鼻呼吸が困難な期間が長引くと口呼吸が常習化してしまい、舌の筋肉が弱くなることがあります。

 就寝中の口呼吸による口腔内の乾燥と、歯ぎしりや食いしばりの間には、とても強い相関関係があることが研究で解明されてきました。歯ぎしりや食いしばりでは、最大で前歯25キログラム、奥歯125キログラムまでの力が歯に掛かると言われています。これにより顎関節に掛かる負荷も格段に上昇し、それが慢性化すると歯が欠けたり顎関節に不具合が発症します。

 つまり、現状、鼻呼吸ができるのであれば、口呼吸を止めて、食いしばりや歯ぎしりを解消することができると考えられます。

 そのための鍵を握るのは、口腔内の下部に位置するようになってしまった舌を上部に位置するようにトレーニングすることです。鼻呼吸の習慣を回復することで、就寝時も舌が気道を閉塞することなく上部に位置できるようになり、イビキや睡眠時無呼吸症候群の解消と、同時に顎関節症の予防や改善につながります。

 通常時から意識して舌を口腔内、上の前歯のすぐ後ろに位置させるようにしましょう。舌のトレーニング方法はたくさんあります。マシンを使って無呼吸症候群を改善したり、マウスピースの使用に加えて、体の中から改善できる方法としてぜひ舌のリハビリをして、鼻呼吸を取り戻していきましょう!

セラピスト紹介

奥谷 匡弘(ただひろ)

奥谷 匡弘(ただひろ)

オーストラリア・フィジオセラピー協会公認筋骨格系理学療法士。セント・ヴィンセント病院で勤務後、自身のクリニックでプロ・スポーツ選手や財界の著名人の治療に多く携わる。特に顎関節症や頭痛治療に造詣が深く、セミナー講師も務める。
Web: www.metrophysiotherapy.com.au/

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