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“マイム”は口ほどに物を言う/QLDバレエ団 合々香と弘平のグランパドドゥ

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QLDバレエ団
合々香と弘平のグランパドドゥ 第6回

“マイム”は口ほどに物を言う

2018年の公演でシンデレラを演じた時の筆者(© Faye Sakura Rentoule)

皆さん、こんにちは。踊りで物語を伝えるバレエでは、ミュージカルやオペラと異なり、基本的に言葉を舞台で発しません。言葉の代わりに、それぞれのシーンを彩る音楽に乗せ、顔の表情や全身を使って感情表現を行います。複雑なストーリー展開や役柄なども全てボディー・ランゲージで伝えなければいけない中で、とても大きな役割を果たすのが、“マイム”です。

例えば、手の平を自分の胸に当てると“私”、心臓の位置を両手で包む動作は“愛する”、更に両手を上げながら、頭上でくるくると回すと“踊る”という意味なので、これらを組み合わせて“私は踊ることが大好きです”と伝えられるのです。

おとぎ話のバレエで登場するマイムで、女性に“美しい”と伝えるには、右手の甲で左の頬から反対の頬までをなで、逆に男性へは片方の手を顔の前に出し、鼻筋を上から下に指先で軽くなぞります。“王女や王子”を表すには、片手の平をピンと伸ばして手首を90度に反らし、頭上で横に引いて王冠を表します。“結婚”は、右手で左の薬指を差し、結婚指輪を連想させます。『白鳥の湖』でオデット姫が呪いで白鳥の姿に変えられた時のような“悲しさ”を伝えるには、指先で目元から涙が流れる動作といった具合。

バレエにはまだまだ多くのマイムがあり、バレエの歴史と共にダンサーたちに受け継がれてきました。言葉を使わない分、ダンサーの踊り、表現、マイムが世界共通の言語となって、世界中の皆さんへ作品を通したメッセージをお届けできるのです。次回のバレエ鑑賞では、ぜひ“マイム”にも注目してくださいね。

このコラムの著者

吉田合々香(よしだねねか)/QLDバレエ団プリンシパル・アーティスト

吉田合々香(よしだねねか)/QLDバレエ団プリンシパル・アーティスト

金沢市出身。欧州に4年間留学後、2014年QLDバレエ入団のためにブリスベンに移住。平日はバレエ漬け、週末はお菓子作りや居心地の良いカフェでの時間を楽しむ。リラックス方法はおいしい和食を食べ、お風呂に浸かり、アロマを焚いてぐっすり眠ること。好きな映画は『ジュリエットからの手紙』。

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