幸せワイン・ガイド@オーストラリア
お薦めの低アルコール・ワイン
日豪プレス読者の皆様、お久しぶりです。2020年はオーストラリアにとっても、そして世界全体にも大変な年になってしまいましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。外食も旅行もなかなか今までどおりにはできない時期が続き、心身共に疲弊してしまいそうになりますが、せめてお好きなワインを、ご自宅などで楽しんでいただければと思います。
さて、最近は健康志向もあってか、ノン・アルコールの飲み物の選択肢が増えてきました。COVID-19が起きる少し前から、アルコール度ゼロのビールやジンが販売されたり、レストランやバーでもノン・アルコールのカクテルのバラエティが急増しています。
ワインの世界では、一昔前に一時的に流行した低アルコール・ワインが、最近また流行しています。低アルコール・ワインは、実は7~8年前にも一度流行り、オーストラリアでも各大手メーカーがこぞって低アルコールの商品を発売していましたが、当時は飛び抜けて洗練されたものも少なく、いつの間にか淘汰されてしまった印象があります。
低アルコール・ワインには幾つか種類があります。
①元来アルコール度が低いスタイルのもの
②意図的に手を加えて本来のスタイルよりもアルコール度数を下げたもの
①にあげられるのは、例えばドイツのリースリング、ハンター・ヴァレーのセミヨン、そして甘いモスカートなどがあげられます。今回は、最近再び復活してきた②、意図的にアルコールを下げたワインについてご紹介します。
日本に比べると、全体的にお酒に強い人が多そうなオーストラリア、この国で低アルコールやノン・アルコールの飲み物が流行することはなかなかないだろうと思っていましたが、時代は変わるものです。ここ最近は健康志向の高まりから食事のライト化が進み、ワインやビールを楽しみたいけれど、ライフ・スタイルの選択としてアルコールの摂取量を減らしたい、という傾向が高まっています。社交のツールとして、お酒は楽しみたいけど、人前で酔っぱらってしまったり、二日酔いになるのは避けたい、あるいはそもそも健康面でカロリーが気になる、という方もいらっしゃるでしょう。
その一方で、食事の場で甘いソフト・ドリンクは合わせづらいし、かといってお水だけでは物足りない。ソーシャル・ライフを楽しみつつ、アルコールの摂取量を減らしたいという方には、飲み物の選択肢が増えるのは嬉しいですね。
低アルコール・ワインは、味わいとしてはやはり通常のワインに比べ、軽くさっぱりしたものが主流となっています。アルコールもワインの味わいを決める大きな要素の1つでもあります。以前に流行したときに比べると、味わいのバランスが良いものが増えた印象です。
今回ご紹介するのは、昨年発売になったTatachilla White Admiralシリーズです。ロゼとピノ・グリージョの2種類の展開で、アルコール度数はどちらも9パーセントです。
一般的なオーストラリアのピノ・グリージョとロゼのアルコール度数はどちらも12.5パーセントから13パーセントのものが主流となっていますので、アルコール度数がかなり抑えられているのが分かりますね。ロゼもグリージョも、もともと軽やかでアペリティフとして、あるいはごく軽めの食事と合わせることの多いワインですので、どなたでも抵抗なく楽しんでいただけるかと思います。
更にこのシリーズは、ラベルの色が温度で変わります。ワインが飲み頃の温度まで冷やされると、ラベルの色が美しく変化するという遊び心が加わります。
アウト・ドアでもワインを楽しむ機会の多いオーストラリア、ピクニックやカジュアルなランチにも最適です。テーブルにちょっとした話題と華を添えてくれる可愛いワイン、ぜひお試しくださいね。
このコラムの著者
フロスト結子
オーストラリアと日本でワイン業界に携わり10年以上。ワイン卸業社に勤務しながらフリーランスでもワイン専門通訳、翻訳、ライター、市場調査、イベントなど幅広くこなす。私生活ではマラソン・ランナー。世界最大のワイン教育機関WSETの最上位資格、WSET®︎Diploma in Wine & Spirits及び日本酒のAdvanced Certificateを取得。 Web: auswines.blog.jp