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長毛のペットが暑そうなので短くカット、そのデメリットとは?

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ペット

Q

現在飼っている犬と猫(ゴールデン・レトリーバーと長毛の雑種猫)が両方共長毛で、夏は毎年暑くてとてもつらそうです。そこで、今年は2匹共毛を短くカットしようと思っているのですが、カットするとかえって良くないという意見も聞きました。実際はどうなのでしょうか?(40代女性=主婦)

A

全身を被毛で覆われている犬や猫は、夏場は見るからに暑苦しそうで、毛を短くカットすることを考える人も多くいると思われます。しかし、夏の暑さ対策としてペットの毛を短くする、いわゆるサマー・カットの有効性に関しては賛否両論あります。

被毛の役割

被毛の役割には、以下の2つが挙げられます。

  1. 体温調節:被毛は、皮膚と外気の間にある断熱材のような役割を果たします。寒さから身を守るのは当然のことで、夏も外の熱を体に伝わりにくくする働きがあります。
  2. 外部の刺激から体を守る:木の枝や草の葉など、普段活動する中で接触する物や、雨や紫外線などが、直接皮膚に当たらないように保護する役割があります。蚊やアリなどの虫にも刺されにくくなります。

被毛の種類

被毛の種類には、ダブル・コートとシングル・コートの2種類あり、それぞれ以下のような特徴があります。

  • ダブル・コート:硬い上毛と、柔らかい下毛の2層に分かれた被毛で、春と秋の換毛期に夏毛と冬毛が入れ替わります(例:犬ではポメラニアンやゴールデン・レトリーバー、猫ではアメリカン・ショートヘアやスコティッシュ・フォールドなど)。
  • シングル・コート:下毛を持たず、抜け毛が少ない犬や猫もいます。犬の場合、定期的なカットが必要です(例:犬ではプードルやシュナウザー、猫ではソマリやシャムなど)。

毛刈りのメリット

毛刈りすることのメリットは、以下の通りです。

  • 手入れが楽:ブラッシングやシャンプーなどが楽になるので清潔に保ちやすくなります。
  • 皮膚病の予防:夏にできやすい細菌性の皮膚炎が軽減されます。
  • 猫の毛玉の予防:特に長毛種で毛玉を頻繁に吐く猫には毛刈りを推奨しています。

毛刈りのデメリット

反対に毛刈りのデメリットは、以下に挙げられます。

  • 直射日光による日焼け:紫外線の影響を受けやすくなります。また、熱が直接皮膚にも伝わるため余計に暑く感じられることもあります。
  • 外からの刺激を受けやすくなります。
  • 毛質の変化/生えそろわない:主にダブル・コートの犬で見られる現象です。換毛期との兼ね合いで毛刈りから毛が生えそろうまで、2~3年掛かってしまうこともあります。まれに全く生え替わらない、またはモジャモジャした下毛だけしか生えてこないこともあります。

デメリットがあることも知っていなければなりませんが、毛刈りすると、ずっと活動的になり明らかに快適そうだと、飼い主たちから聞くこともあります。活動量が多い犬などは、上がった体温が逆に被毛で体内に閉じ込められるので、その場合は毛が短い方が楽になるかと思われます。

*オーストラリアで生活していて、不思議に思ったこと、日本と勝手が違って分からないこと、困っていることなどがありましたら、当コーナーで専門家に相談してみましょう。質問は、相談者の性別・年齢・職業を明記した上で、Eメール(npeditor@nichigo.com.au)、ファクス(02-9211-1722)、または郵送で「日豪プレス編集部・何でも相談係」までお送りください。お寄せいただいたご相談は、紙面に掲載させていただく場合があります。個別にご返答はいたしませんので、ご了承ください。


戸塚 遊喜(とつか ゆき)
Chatswood Veterinary Clinic

シドニーの現地校を卒業後、シドニー大学の獣医学部を卒業。現在、シドニーのノースショアにある小動物専門病院「チャッツウッド・ベタリナリー・クリニック」に勤務。動物の鍼灸師の資格を保持している。

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