DAMA
暗雲が垂れ込めているオーストラリアの移民政策に関して、明るい話題の1つが「Designated Area Agreement Migration Agreements(DAMA)」ではないでしょうか。昨今の移民政策の厳格化で、スポンサー付きビザの発給数は、前年比28%減となりました。しかし、厳格化の意図とは裏腹に、都市部以外では一定の業種で人手不足が更に助長されました。
この人手不足の声は都市部よりも地方から聞こえ、特に第1次・2次産業に従事できる人材を国内だけで賄えないという問題が存在しています。それに応えるために政府が導入を始めたのがDAMAです。一定地域の一定の業種において、人手不足の解消、経済戦略の一環として移民の受け入れを可能にするというものです。以前紹介したノーザン・テリトリー並びにVIC州のグレート・サザン・コーストは既にDAMAが可能になっている地域です。
DAMAは連邦政府との2段階の契約で成り立っています。1つ目は、DAMAで海外労働者を必要とする地方自治体が、職種、ビザ発行数、その他条件などに関する契約を交わし、2つ目として雇用主との雇用条件に関する契約を交わします。
DAMAでのビザ申請ですが、あくまでもサブクラス482(Temporary Skill Shortage)ビザのうちの1つのストリームとしての申請となります。ただし、通常のサブクラス482ビザとは異なる特徴があり、それは以下の通りです。
- Labour Agreement(労働協定)ストリームを通じての申請となるため、スポンサーとなる雇用主はオーストラリア政府との労働協定の締結を必要とする。
- DAMAを通じて永住権の申請が可能になる。
- 高度なスキルを必要としない職種を含む専用の職種リストが用いられる。
- 幾つかの職種に関し英語力及び給料の条件が緩和される。
QLD州政府スポンサー
昨年末より申請の受付を一時的に中止していたサブクラス132、188B(投資家)、188C(SIV)ビザに関して、1月25日から受付が再開されました。188A(イノベーション・ストリーム)に関しては、ケース・バイ・ケースの対応をしていくそうです。
なお、6カ月内に申請が却下された申請者、QLD州以外の州政府からもスポンサーを受けることを希望する申請者は申請対象から除外すると新たに規定が設けられており、開業する予定または開業したばかりの初期段階の飲食店の経営に関しては、スポンサーをしないという話もありますので、その点は申請前に確認が必要です。
手続きが複雑化している場合もありますので、専門家に早めにご相談ください。
清水英樹(Hideki Shimizu)
QLD州弁護士、ビザ・移民法政府公認アドバイザー(MARN9900985)。「フェニックス法律事務所」筆頭弁護士所長の他、移民ビザ専門コンサルティング会社「GOオーストラリア・ビザ・コンサルタント」、各種不動産売買手続き専門法律事務所「Conveyancing Home QLD」を経営する。