第54回
家事は手伝わない
【前回までのあらすじ】
極寒の北海道から、オーストラリアへ家族4人で移住。オージーの夫との一風変わった日常生活を綴っている。
長い結婚生活で、「夫はなぜ家事を手伝わない?」とイラッとしたことはありませんか? 我が家もそれは例外ではありません。例えば、洗濯物干し。「あ! 洗濯物を干すのを忘れた」と思い、夫に洗濯物を干すようお願いしてひと安心し、午後遅くに仕事から帰宅。「やれやれ今日も終わったなあ」とゲートを開けると、そこにはあるべき物がない。「また洗濯物を干すのを忘れたのね!」と、夫の自室兼オフィスへと向かった。
私:「Hi, honey. I’m home」(ただいま)
夫:「Welcome home. Listen what I have done today!」(お帰り。今日は、すごかったんだよ!)
「予想をはるかに上回ることが起きた」と、夫はその日の仕事の生産性の高さを力説。私が不機嫌なことに気付いていない。ひとしきり彼の演説が終わった後、「ところで今朝私が頼んだこと忘れていない?」と切り出してみた。
夫:「そうだったかな? 何だったかちょっと思い出させてよ」
私:「洗濯物を干すのを忘れたでしょう?」
夫:「そうだった。ごめんごめん。電話が多くてね。ついうっかりしちゃったよ」
私:「ついうっかりで、もう3日連続なんですけどね。暑い中、何時間もぬれた状態で置いておくから臭くなってるじゃない。また洗い直しよ」
夫:「分かった。すぐに洗い直して干すからね」
私:「ねえ、私が昼休みとかに『ちゃんとやってね』とリマインダーを送らないとダメなの?」
夫:「いや、そこまでしなくても大丈夫だよ。ちゃんとできるよ」
私:「じゃあ、なんでそんなにすぐに忘れてしまうの?」
夫:「それは僕がバカだからさ! これで満足かい?」
追い詰め過ぎて、逆ギレされてしまいました。
洗濯物干しや食器洗いはすぐに忘れてしまうのに、彼が得意なことは、あっという間に片付けてしまう。例えば、パソコン作業、電気工事、大工仕事など。ある日、何気なく「今度、長期休暇には◯◯へ行きたいなあ」と言ったら、その晩には旅行業者顔負けの立派な旅程表ができていてびっくり。
ということで、現在は旅行業をしている夫です。
ポップ登美子
北海道札幌市出身。オージーの夫と2人の子どもと共にノーザン・テリトリーに在住中。本紙コラムの他にも、「地球の歩き方」海外特派員などでのフリーランス・ライターや日本語ガイド、日本語教師としても活躍中。
Web: ameblo.jp/kangaroo777
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