オーストラリア・ビザよもやま話
今月は、連邦議会選挙後のビザに関する余波について幾つかお話しします。
その1:思わぬ人気者
自由・国民党連立党が圧勝という、大方の予想を裏切る結果となった今回の連邦議会選挙。選挙後、予想していなかった人気者が現れました。その人気者とは、ニュージーランド(以下、NZ)です。
選挙で連立党の勝利が確定したと同時に、オーストラリア人からのNZへの移住希望の問い合わせが殺到したとNZ政府から発表があったそうです。オーストラリアに移住したいという人はたくさんいますが、今回の選挙の結果によりNZで暮らしたいというオーストラリア人がたくさんいたということは、それだけアンチ移民という国民が多いということでしょうか。中には、頼りになるリーダーシップを求めてNZに移住したいという、半ば国に失望した人などもいたそうです。
その2:ゴールドコーストは人気者
世界中の観光客から大人気のゴールドコースト(以下、GC)。同地も「とある方々」からも大人気とのこと。その「とある方々」は違法滞在者です。政府統計によると、オーストラリアには6万人近い違法滞在者がいて、その多くがGCのような観光都市にいることが分かっています。
サービス業の多いGCのような観光都市では比較的現金商売が多く、給料の支払いを現金で行うことで、正規雇用をせず少しでも安い労働力を確保しようとする雇用主が多いと言われています。そうした理由で、同地に違法滞在者が集まっているということです。
ただ現状、短期居住者用ビザの99%以上はビザの期日内に出国しており、違法滞在者は割合的に極めて少数に当たります。
その3:これからの人気者
近年の移民政策の厳格化に伴い、叫ばれているのが外国人労働者の減少並びに地方での労働力確保の難しさです。
そうした問題の解決のために、ワーホリ・ビザ保持者のファーム労働や地方限定ビザの優遇措置が取られてきましたが、それでもまだ足りないのが地方の雇用の実情です。今年から導入されたDesignated Area Migration Agreements(DAMA)について、最初は2地域(NTとVIC州南コースト地域)から始まりましたが、この地域限定移住促進プログラムであるDAMAの適応地域はどんどん増やされているということです。オーストラリアに移住を検討する人には、都市部ではなく地方への移住を検討することが、永住権取得の一番の近道になるかもしれません。
清水英樹(Hideki Shimizu)
QLD州弁護士、ビザ・移民法政府公認アドバイザー(MARN9900985)。「フェニックス法律事務所」筆頭弁護士所長の他、移民ビザ専門コンサルティング会社「GOオーストラリア・ビザ・コンサルタント」、各種不動産売買手続き専門法律事務所「Conveyancing Home QLD」を経営する。