変動が激しいことで知られるオーストラリアのビザ事情。前年度との変更点を始め、申請に欠かせない必要書類や費用、条件などの基本情報に加え、今後予測される動向とそれに合わせた注意点やアドバイスなどを専門家に伺った。「ワーキング・ホリデー・ビザ」「学生ビザ」「就労ビザ」「パートナー・ビザ」に関する最新情報はもちろん、ビザ・エージェント・インタビューもお届けする。
- 各種ビザ手続き方法
- エージェント・ インタビュー①
- エージェント・ インタビュー ②
ビザ・エージェント・インタビュー2019
ウィダス
WIDAUS Pty Ltd
オーストラリアへの移住・留学を始め、各種ビザ・サポートなどのコンサルティング・サービスを提供する「ウィダス」は、「世界に出て行く日本人をサポートしたい」という思いからできたエージェントだ。「With us, dream in Australia」をコンセプトに、日本からオーストラリアを経由して世界へ視野を広げていく人びとをサポートできるよう、全力で取り組んでいるという同社代表・飯田嵩哉氏に、他社と比べての強みや、クライアントをサポートする上で心掛けていることなどについて伺った。
――貴社は、神奈川県横浜市とオーストラリアのブリスベンの2カ所にオフィスをお持ちですが、具体的にどのようなビザ・サービスを提供されていますか。
弊社は、永住権や一時滞在ビザ、市民権の取得に関するコンサルティングから申請の代行を基本柱としたサービスの提供を行っています。具体的には、必要書類リストの提示から、提出書類の査定、技術査定の準備と申請、カバー・レター作成、ビザ申請書の提出、移民局担当官との折衝及び連絡窓口業務、そしてビザ認可・却下後のフォロー・アップまでをそれぞれのお客様の状況や申請するビザの種類によって最適なサポートを組み合わせた上で提供させて頂きます。
基本的に、メインとなるのがブリスベンのホーランド・パーク・ウエストにあるオフィスです。現在はお客様のほとんどがオーストラリア国内となっているため、ブリスベン周辺での業務が主になっています。とは言え、移住や各種ビザに関する疑問を持っている人は日本にもいらっしゃるので、年に2回ほど日本に短期出張しヒアリングを行っています。その際にベースとなっているのが横浜オフィスです。現在、横浜オフィスには移住やビザの相談を受けるスタッフが常駐していませんが、将来的には現在のブリスベンで提供しているのと同等レベルのサービスが日本でも提供できるよう、横浜オフィスの充実化を進めているところです。
――数ある分野の中でも、学生ビザ、就労ビザ、パートナー・ビザを得意とされているそうですが、それぞれに対してどのようにサポートされていますか。
学生ビザを申請されるお客様の中には、まだ英語の部分で不安を持っている人もいらっしゃいます。これから語学学校や専門学校、大学、大学院に進もうと大きな目標を持つ人が、オーストラリアでの生活を不安なくスタートさせ、それを継続できるようにビザの申請について協力させて頂いています。弊社がこれまでサポートしてきたお客様で最も不安を感じられているのが、真正な一時入国を証明するための「Genuine Temporary entrant(GTE)」条件です。それぞれの明確な目標やビジョンをGTE条件と上手くマッチングできるようエッセイに落とし込む部分については時に非常に繊細になり得ますので、しっかりとヒアリングを行い、1人ひとりに合ったアドバイスを行っています。
就労ビザは申請者だけではなく、雇用主との関わりも大きな比重を持ちます。昨今の移民法の改正が影響し、これまでのルールが適用外となるケースも多々ある中、ビザ取得の可能性がある人やそのスポンサーである雇用主が確実にビザ取得への各種条件をクリアできるよう丁寧なアドバイスを心掛けています。
数ある永住権の中でも、申請料や審査期間を含めて取得へのハードルが年々上がっているのがパートナー・ビザになります。将来の約束をしたパートナーと、今後もビザの不安がなく過ごせるように努めております。
――貴社ならではの強みや、サービス提供において心掛けていることをお聞かせください。
オーストラリア国内でビザを扱う上で必須となる、移民エージェント資格を持っていることはもちろん、常に最新の移民法を把握した状態でお客様と話ができるように日々精進しています。オーストラリアで生活をする上でほとんどの人が必要とするビザですが、そのルールを取り締まる移民法は非常に複雑です。過去適用されていたルールが現在も適用されるとは限らない上、申請条件を1つでも満たすことができないとビザは取得できず、簡単なミスによってオーストラリアに入国できなくなってしまう可能性も十分にあり得ます。弊社では、どんな人でも気軽に専門家の知識を活用して頂けるよう、さまざまなチャネルから弊社までアクセスできるようにしております。オーストラリア全土、そして日本からいつでも連絡が取れるようにメールや電話はもちろん、ラインやスカイプでもご相談を受け付けています。ブリスベンでは無料で参加できるセミナーも開催していて、開催日程はフェイスブックやインスタグラムで多くのひとの目に触れるようにお知らせするようにしています。ブリスベン周辺(南はバイロンベイ、北はヌーサまで)にお住まいで、対面での相談を希望する人には、直接お住まいの地域周辺まで伺い、出張相談を行っています。また、事前に予約を入れて頂ければ通常営業時間外でも対面や電話での相談を承っているため、平日の昼間にはどうしても時間が取れない場合でも、夕方以降や週末に相談が可能です。ビザの申請は申請者本人が個人で行うことも可能です。しかし、自分1人では不安なこともあるでしょう。そうしたことから弊社では初回無料相談の場を設けて一度ヒアリングを行い、一般的なビザ申請について選択肢などをアドバイスさせて頂いております。
――ビザに関して、在豪の日本人から多く寄せらる案件はどのようなものですか。
弊社はビザ・エージェント業務と同時に留学エージェント業務も行っておりますので、現在オーストラリアでワーキング・ホリデーや学生ビザで滞在されている人から学校紹介と学生ビザのサポートを同時に相談を頂くケースが増えています。日本にオフィスを持つ留学エージェントから学校紹介のサポートを受けてオーストラリアでの生活を始められた人からも、現在のビザが有効期限を迎える前になると、ビザの切り替えや新規取得に関して、移民エージェント資格を持つ弊社まで問い合わせを頂くことが多いです。
弊社がこのような相談を頂く場合、現在保有のビザや今後の計画などをまずお伺いし、その上で最も状況に適したビザを提示し、学生ビザが最適のビザである場合はそれから目的の資格やスキルが得られるような学校の紹介を行っています。ビザの延長を行う上でのリスクや気を付けなければならないことなども先に情報提供し、しっかりとビザに関して理解した上で方向性を決められるようにサポートを提供しています。
――今後予想されるビザの動向について専門家としてご意見を頂けますか。
近年ますます厳しくなってきた移民法ですが、今年の11月にも大きな動きが予定されています。人口が集中する都市部から離れ、地方に目を向けることが今後のビザ取得の大きな流れになってくるのではないでしょうか。オーストラリア国内の地方で経済に貢献できる技術者については、今後もビザ取得の可能性は引き続き残ることになります。
――貴社から読者にお伝えしたいことなどございましたらお聞かせください。
日本国民としてオーストラリアに滞在するために、ビザの問題はどうしてもついて回ります。我々日本人に深く関わる、ワーキング・ホリデー・ビザ、学生ビザ、就労ビザそして各種永住権を始め、取得できるビザは多岐にわたります。ご自身が考えているベストの選択肢と、移民法の専門家が考えるベストの選択肢が異なる場合もありますので、まずは信頼できる専門家にアドバイスを受けると良いのではないでしょうか。非常に小さな1つのアドバイスが、将来的なビザ申請の可能性を大きく広げることもあります。今後の移民法の改正なども含めて事前に知識を入れておくことでご自身の今後の方向性などを決めていく上で有益な材料になることも多々ありますので、ぜひ積極的に専門家に相談することをお勧めします。
弊社はブリスベンで定期的にビザや永住権に関連するセミナーを開催しています。学生ビザや卒業生ビザのように特定のビザに対して不安を感じる人のためには各ビザに特化したセミナーを、将来的な長期滞在に向けた疑問を持たれている人には永住権、就労、技術系のビザ・セミナーなどを行っています。それぞれの状況に合ったセミナーに参加することで専門家のアドバイスを受けられると共に、参加される人同士でも意見交換や情報の共有ができます。少しでも不安がある人は、ぜひ参加を検討してみて下さい。
■Web: www.widausjp.com
ビザ・エージェント・インタビュー2019
フェニックス法律事務所
Phoenix Law & Associates
「フェニックス法律事務所」筆頭弁護士所長の清水英樹氏は、移民ビザ専門コンサルティング会社「Goオーストラリア・ビザ・コンサルタント」の代表も務め、交通事故・労災を専門に扱う「Injury & Accident Lawyers」も経営している。同氏の得意とする分野のサービス内容を始め、今後予想されるビザの動向、利用者のために強化していきたい分野とサービスにおける展望について話を伺った。
――貴社ならではの強みとして、他社との差別化のポイントはどのような点でしょうか。
弊社は、移民コンサルティング会社だけではなく、法律事務所としてビザのみならず法律全般に通じたサポートをすることが可能です。私は商法を専門としているので、単純にビザに関するアドバイスだけでなく、法人に対する包括的なアドバイスができる点が強みです。
また、私の専門分野は商法と会社法です。事業・投資移住のクライアントに対して商業、会社法の観点からより専門的なアドバイスをすることができるため、ビザ申請だけでなく、その後の事業や投資運営を含めてお手伝いすることが多いです。私の専門分野が商法ということもあり、サブクラス482ビザなどのスポンサー付き就労ビザに対しても、商法に対する幅広い知識からクライアントをサポートしています。もちろん、パートナー・ビザを始めとする家族移住に関しても、知識と経験は深く、今までに数百件を超える申請をサポートしてきました。
――業務で心掛けていることはありますか。
移民法は十分な告知もなく改正となる場合があるため、常に最新の情報を確認すること、そして同じビザ申請であってもクライアントによって、さまざまな背景があるので、それぞれのクライアントに合ったコミュニケーションを十分に取ることを心掛けています。ビザもご縁だと思います。オーストラリアでビザを取得することは、たくさんある選択肢の1つであり、唯一の道ではないということをクライアントと考えるようにしています。
――今後予想されるビザの動向についてご意見をお聞かせください。
白豪主義政策を止めて以降、多民族国家としての道を着実に歩み始めていたオーストラリアでしたが、ここ最近の大きな社会の流れは多民族国家それぞれの宗教、それぞれの民族、それぞれの思想において、顕著に乖離(かいり)を図ろうとしています。そんな中、「移民」を良しとしないというナショナリズムの流れはアメリカのトランプ政権だけではなく、グローバルな広がりを見せ、オーストラリアにおいても1つの大きな声として広がっています。
そのような状況下において、各政権は保身を第一に考え、選挙に勝つための移民政策を大前提に考えるようになりました。オーストラリアの生産性を増加させ、国際競争に勝てる国づくりをするためには、海外からもっと優秀な人材が集まる魅力的な国にしなければなりません。しかし、今はこうした優秀な人材を海外からもっと呼び込もうとすると、国民の仕事の機会が奪われてしまうという事態に配慮しているのが現状です。また、移民が増えると都市に暮らす人口が増えすぎてインフラ整備が間に合わないため、地方に移民を送り込むことに力を入れる事態が起きています(地方は地方で慢性的な労働人口不足に悩まされているため、こうした試みは大歓迎されています)。
そんな中、英語を母国語としない民族にとっては、ビザに関して多難な将来が待っていると思われます。現政権下であれば、既に行われている英語を母国語とし、いわゆる西洋文化を背景に持つ民族を優遇するという政策はしばらく続いていくであろうと思われます。毎年の永住権発行数を大幅に減らしたり、パートナー・ビザなどのビザの審査に時間が掛かってしまうのも、全体的な流れの中で「アンチ移民」という考えがオーストラリア社会に存在しているためです。そのため、今の政権が続く以上は、現在の移民政策のスタンスは変わらないと思われます。こうした流れの中で、将来的にオーストラリアに居ること自体がどのように得であるかを考えた上で決断をして頂くと良いかと思われます。
――今後強化していきたい分野やサービスにおける展望などを教えてください。
法律やビザの分野に限らず、オーストラリアを始めとする海外進出を考える法人や投資家の方々の包括的なサポート業務ができるようにしていきたいと考えています。日本に居ながらにして、事業や投資を行う上で必要な情報やコンサルティングを行い、企業のオーストラリア進出の手助けができれば幸いです。
■住所:Level 17, 300 Adelaide St., Brisbane QLD
■Tel: (07)3180-0908
■Fax: (07)3319-6131
■Web: https://www.phoenix-law.com.au/
■Email: info@phoenixlaw.com.au
ビザ・エージェント・インタビュー2019
AOMビザ・コンサルティング
AOM Visa Consulting
東京を拠点に日本語と英語によるバイリンガル・イミグレーション・サービスを提供している「AOMビザ・コンサルティング」。主に法人の就労ビザや個人の投資家ビザなどを取り扱う同社の代表・足利弥生氏は、20年以上にわたりオーストラリア移民法を扱ってきた豊富な経験を持つ。同氏に詳しい事業内容に加え、得意とする分野や強みなどについて話を伺った。
――貴社は日本を拠点にビザ・コンサルティングを手掛けていますが、具体的にどのようなサービスを提供されていますか。
弊社は東京を拠点に運営していますので、オーストラリアにあるエージェントとは若干クライアントのニーズが異なります。アウトバウンドとしてはオーストラリアとニュージーランドにおける日系企業を中心とする法人(駐在員)の就労ビザ、日本からの派遣者(日本政府関連、研究・研修など)のビザ代行業務やアドバイスを提供しています。また近年、日本人の間でニーズが高まってきているオーストラリアやニュージーランド、アメリカ、イギリスにおける個人投資家への投資家ビザの案件も取り扱っています。ビザ・クラスに準じて各国の弁護士や専門家と連携することで専門性の高いサービスを提供しています。
更に、インバウンドとして日本へのビザ・ニーズ(在留資格)が増え、特に海外投資家向けに起業する場合や進出時に必要な「経営・管理」や「長期保養」なども扱っています。
――貴社が得意とする分野や、これから伸ばしていきたいことを教えてください。
オーストラリアとニュージーランドへの日系企業進出案件やそれに伴う就労ビザを数多く手掛けてきました。また、2014年から執筆させて頂いたJETROシドニー刊行の『就労ビザガイドブック』により、多くの企業に駐在や研修などに活用できるビザ・クラスについて理解が深まり、知識が浸透したと感じています。
これから伸ばしていきたいと考えている分野は2つあります。まずは、アウトバウンドの投資家ビザ全般です。オーストラリアは世界の富裕層が近年、最も移住国として流入している国であり、そのような環境下、日本人のニーズに焦点を当て各国へのサービスを拡大していく予定です。そしてもう1つは、日本への富裕層の誘致と経済促進を図る仕組みを作ることです。日本が海外からの投資誘致政策という点において、他の先進国に比べ積極的になってきたのは本当に最近のことです。昨今、入管法は訪日観光を皮切りに目覚ましいスピードで改正されつつありますが、まだまだ外国からの投資誘致に伴う人の流動の仕組みはこれからではないかと感じています。オーストラリア人はニセコを始め、まさに海外からの日本への投資において先駆者であり、功績者とも言えます。こうした双方間の経済促進を担うために人の移動についてのサービスを拡充したいと考えています。
――貴社ならではの、他社と比べての強みはどのようなものでしょうか。
弊社は、チーム全員が長年オーストラリア政府で審査実務をしてきたメンバーで、移民省内におけるオペレーションや審査アプローチを理解している点が最大の強みと感じています。これは時にニュージーランド移民省と比較する上でも参考となります。またオーストラリアの就労ビザについてはあまり日系企業が活用していない労働協約(Labour Agreement)を得意とし、この制度を利用することで派遣可能になる仕組みも提案できます。
日本のビザについては、特に東京など特区で実施されているスタート・アップ案件を多く手掛けているバイリンガルの専門家と連携しているため、起業を円滑に実施できるようなサービスを提供しています。
――ビザの専門家として、読者へのアドバイスをお願いします。
オーストラリアは他の先進国移民国家と比較しても、かなり頻繁に法改正が実施される国といっても過言ではありません。そのため、最新情報を常に入手することはもちろん重要ですが、状況に応じて、他国でのオプションもご家族によってはあるかもしれません。グリーン・カード取得につながるアメリカ投資家ビザを検討するのも1つの手です。イミグレーション業界には世界に幅広いネットワークが存在します。申請者とその家族にとってベストなオプションを検討することがとても大切ではないでしょうか。
■住所:東京都港区虎ノ門4-3-1城山トラストタワー33階(クイーンズランド・ビジネス・センター内)
■Tel:+81(3)4540-6305
■Web: aom-visa.com
■Email: info@aom-visa.com
- 各種ビザ手続き方法
- エージェント・ インタビュー①
- エージェント・ インタビュー ②