新会計年度の始まり
新会計年度を迎え、オーストラリアではいろいろなものがリセットとなりました。特に大きな変更はないままスタートしたビザ申請ですが、ビザ発行数は年度ごとに決められているため、新年度はビザ取得のチャンスが生まれるタイミングとなります。
その1:束の間の希望
クイーンズランド州政府が2019年2月以来中断していた、州政府によるスポンサーの申請受付を7月末に再開しました。これでようやく変わると思っていた矢先でしたが、技術プログラム(サブクラス190、489)においては、受付再開からわずか2日で予想以上の申請者数に達したことを理由に受付中断というお達しが出てしまいました。
スポンサー付き就労ビザの取得に事前の実務経験などが必要となって以来、オーストラリアの学校を卒業した留学生が目指すことのできるわずかなビザの1つが、これらの州政府スポンサー付きのビザです。再開を待ちわびていた人たちにとっては、申請ができたこと事態は幸いでしたが、そのチャンスを逃してしまった人たちは、再び様子を見なければならなくなりました。
その2:ついに聖域まで
昨今のオーストラリアの移民政策は紛れもなく厳格化されてきており、多岐にわたってそのハードルが上げられています。筆者が弁護士としての仕事を始めたばかりのころは、パートナー・ビザの申請料は1,000ドルほどだったと記憶していますが、今やその8倍近い申請料になり、3カ月から半年ほどで取得できていたビザも、2年以上の審査期間が掛かるとされています。
また、近日中にパートナー・ビザの申請の手順自体も変更となると言われており、変更されるとパートナー・ビザ申請は、スポンサーの認可が下りなければ申請できないことになります。それだけでも十分に厳格化が進んでいると言わざるを得ませんが、今のままでは、まだまだ足りないという声が出ているそうです。
さまざまなビザの取得条件が厳しくなっている最中、他のビザ取得が難しくなればなるほど、ビザを取得できない人びとが流れて、パートナー・ビザの申請者数がうなぎ登りになると言われています。一部では移民局がパートナー・ビザの毎年の認可数を制限したために審査期間が延びているという指摘もされており、現在審査待ちのパートナー・ビザ申請者数は8万件以上とも言われています。そのため、これ以上のパートナー・ビザの増加は移民局のシステム破綻にもつながるというのが、パートナー・ビザの更なる厳格化を求める声につながっているようです。
清水英樹(Hideki Shimizu)
QLD州弁護士、ビザ・移民法政府公認アドバイザー(MARN9900985)。「フェニックス法律事務所」筆頭弁護士所長の他、移民ビザ専門コンサルティング会社「GOオーストラリア・ビザ・コンサルタント」、交通事故、労災を専門に扱う「Injury & Accident Lawyers」を経営する