トミヲが掘る!宝石大陸オーストラリア
Lake Moogerah, QLD – Chalcedony
ムーゲラ湖の玉髄(後編)
前回の大成功を収めることができたブリスベンからほど近いムーゲラ湖。日を改めて再び攻めた。
前回は短い時間にもかかわらず、水晶付きの紅玉髄(べにぎょくずい)と大物の瑪瑙(めのう)と碧玉(へきぎょく)の塊を見つける大収穫だっただけに、今回はどんな石に出合えるのかと否が応でも期待が高まる。
今回は、前回未到達の奥の方まで行ってみることにした。干上がった川底には、相変わらず碧玉と木の化石がゴロゴロしている。しかし今回はそれらには目もくれずに奥へ奥へと歩を進める。だが、30分ほど歩くと川幅は徐々に狭くなり、藪も深くなったので今回はここまでと判断。ゆっくりと時間を掛けて石を探しながら引き返すことにした。
それにしても、前回見つけた玉髄の外皮の模様はとてもインパクトがあった。今回も同様の模様を持つものをターゲットに目を凝らす。すると、どうだ。面白いように玉髄が見つかる、見つかる。前回より大きな白やオレンジの玉髄がいとも簡単に我が手中に収まった
倒木や落ち葉などを動かしつつ、更なる大物を求めて丹念に歩いていると、四角い豆腐のような塊に出くわした。ヒビも少なく、外皮は前回にも似た油絵の筆遣いのような模様。そして内側はぶどう状(Botroidal)の白濁色が美しい玉髄の大物だ。もちろんここで、お約束の興奮の雄叫びを1つ。
今回は、主に石がゴロゴロしているような場所を探していたのだが、ふと、目先を変えて砂地でも探してみようと思い、視線を落としてみた。すると、目の前に小さな玉髄があるのに目が留まった。手を伸ばそうとして、更に足下に目をやると、砂地に掌ほどの玉髄独特の模様の石が埋まっている。掘り出すまでもなく大物と分かるレベルの玉髄に、笑いが込み上げてくるのを何とか抑えながら拾い上げる。掌に収まり切らないほどのぶどう状の白濁した玉髄だ。この日2回目となる雄叫びが辺りに木霊した。
結局、この日はこれ以上大物を見つけて今後の楽しみがなくなると困ると、スッパリと撤収した。帰宅後は、今回の収穫をシュウ酸に漬け、外皮に付着した砂や泥を洗浄。そして綺麗にブラッシングしてから、掌大の大物と豆腐の様な玉髄を太陽光に透かしてみた。「美しい」と思わず声が漏れる。
しかし、驚きはこれだけでは終わらなかった。玉髄には紫外線に照らすと蛍光色に光る物もあるのだが、試しに紫外線を照らしてみた。何と2つともライム色に輝くではないか。他の玉髄もライム色に発色するものが数個、オレンジ色の玉髄に至っては桃色に輝く物まで……。驚いて声が出ない。
感動と驚きばかりの石探しとその後作業、これだから、やめられない。
このコラムの著者
文・写真 田口富雄
在豪24年。本職の不動産仲介業の傍ら暇を見つけては愛用のGoProを片手に豪州各地を掘り歩く、石と旅をこよなく愛するトレジャー・ハンター。その活動の様子は、公式YouTubeチャンネル(Web: youtube.com/user/gdaytomio)で楽しめる。現ゴールドコースト宝石細工クラブ理事長