Q: 3歳の子どもがいます。3月に日本から引っ越して来て、2学期から保育園に行くことになりました。トイレと教室の間の壁が透けていてトイレが丸見えなのがとても気になっています。どこの保育園も同じでしょうか? なぜスケスケなのでしょうか?
日本から来たばかりだと、日本との違う点がいろいろあるので気になりますね。保育園や幼稚園で海外から来た人が質問しても、文化が違いますし、こちらでは当たり前のことだったりすると、思うような答えが返ってこないこともしばしばあります。
トイレは本来、人から見えないように作られるものですが、幼稚園や保育園では子どもがきちんと用を足すことができるかを見届けたり、滑ったりしないかなど安全面のため、壁を作らなかったり、壁をガラスやアクリル板にしています。各教室間でも見通し良くしている所が多いです。また、児童の安全面の外に、職員の安全を守るという面もあります。
オーストラリアは、チャイルド・プロテクション(児童保護)に非常に厳しい国で、教職員は、毎年のように児童保護のセミナーを受けなければならないほどです。
子どもに何か虐待を疑うような異変を見つけた(または見つけられた)場合、その手順がきちんと決まっていて、通報を受けるとすぐに警察や管轄の職員が調査に来ます。
子どもが年長の兄弟やメディアなどから聞いた良からぬ言葉を口にしたために、教師が虐待を疑われて事情聴取されたなどということも時々聞きます。ですから、園内に死角を作らず、どこで誰が何をしているかクリアに分かるようにしているわけです。
例えば、外遊びの時間に子どもがお漏らしをしたとします。その場合、職員は子どもを連れて誰からも見えない教室やトイレで下着を替えさせることはしません。まず、子どものバッグを教室から持って来て、他の職員から見える場所で着替えさせます。もしどうしてもトイレに行かなければならない状況であれば、他の職員に子どもを連れてトイレに行く旨を伝え、死角にならない場所で替えさせるなど、子どもだけでなく自分のことも守るよう心掛けています。
幼児期はプライベートを守ることより、安全面を重視するということですね。
回答者
内野 尚子
在豪26年。デイケア、プリスクールAuthorizedSupervisor、補習校の教師兼代表を経て2007年UniversalKIDS設立。19年よりオンラインで保護者や教師向けのバイリンガル教育や子育てアドバイスも行なっている。
Web: universalkids.com.au