過去2年間の実質の鎖国状態が緩和され、豪州の移民政策も各種規制で受けた影響を回復する方向でようやく舵を切り始めました。
外国人の入国が制限されていた過去2年間の結果、豪州の労働市場は人手不足に悩まされる結果となり、408パンデミック・ビザを始め、学生ビザやワーキング・ホリデー・ビザの労働条件の緩和など特別措置が採られましたが、それでもまだ必要な人材を確保する目的は十分に達せられていないことから、永住権申請を可能とする枠を拡大する目玉政策(Hawke 2022年特例)がホーク移民相から発令されました。
筆者がこのコラムを書いている時点で分かっている内容は以下の通りですが、大臣発表の内容のため、正式な法令化がどのようにされるかは注視しておく必要があります。
■サブクラス482TSS(短期ストリーム)ビザ保持者
2年を期限に以下の条件を満たす場合、永住ビザにあたる186ENS(移行ストリーム)の申請が可能になります。
・20年2月1日から21年12月14日の間、最低1年間豪州にいた場合
・186ENS(移行ストリーム)の申請条件を満たす場合
なお、短期職種リストに含まれる職種でサブクラス457ビザを保持している場合で上記の条件を満たす場合も対象になります。
■サブクラス457ビザ保持者で年齢制限を超えてしまった人
2年を期限に以下の条件を満たす場合、同じく186ENSの申請が可能になり、年齢制限が免除を受けることができます。
・17年4月18日以降、サブクラス457ビザを保持していた場合
・20年2月1日から21年12月14日の間、最低1年間豪州にいた場合
・186ENSの申請条件を満たす場合
■サブクラス482TSSビザを既に2回取得している人
1年を期限に以下の条件を満たす場合、豪州国内で3回目の482TSSビザを申請することが可能になります。
・サブクラス482TSSビザを3回以上取得したことがない場合
・サブクラス482TSSビザを保持しながら20年2月1日から21年12月14日の間、最低1年間豪州にいた場合
・サブクラス482TSSビザの申請条件を満たす場合
これらはあくまでも移民相の特例発表による内容ですが、選挙を控え(5月20日現在)、政権交代などによってこうした提案は覆ることもあります。そのため、興味のある方は専門家にアドバイスを仰ぐことをお勧めします。
清水英樹
オーストラリアQL D州弁護士。在豪3 0年以上。地元大学卒業後、弁護士資格を取得。フェニックス・グループCEOとして傘下にあたる「フェニックス法律事務所」、ビザ移民コンサルティング「Goオーストラリア・ビザ・コンサルタント」、交通事故ならびに労災を専門に扱う「Injury & Accident Lawyers」を経営