第15回 僕らの本拠地が生まれ変わりました!
すばらしい環境が整ったスタジオでのリハーサルやコンディショニングは、ダンサーにとっては、ケガの防止につながるだけでなく、すばらしい作品を追求していくためにも大切な要素です。と、ここまで書けばQLDバレエ団(QB)好きの方は、僕が何をご紹介するのか、もうお分かりでしょう。今回はQBの新装したトーマス・ディクソン・センター(Tomas Dixson Centre=TDC)についてお届けしますね。
これまでQBは、100年以上前に靴工場として建てられたTDCを1991年から練習やスタジオ公演などに使用してきました。2019年のTDCの改装工事の開始以降は、ウエスト・エンド(West End)の仮設スタジオを使ってきました。仮設とは言っても、ゆったり広く、5つのスタジオがあるぜいたくな場所でしたが、新たに生まれ変わったTDCは、ダンサーを全面的にサポートする夢のような場所に生まれ変わりました。
同じ建物の中には広い舞台の劇場があり、フィジオセラピスト(理学療法士)が常駐する部屋のすぐ横にはジムとピラティス用具が整ったスタジオ、リハーサルやトレーニング後に体を冷やして疲労を軽減できるアイス・プールなど、例を挙げればきりがありません。
スタジオにある窓から射し込む自然光の中で気持ち良くリハーサルができて、個々のスタジオは温度調節できる空調システムが完備されるなど、常にベストな状態でリハーサルできる環境になりました。
TDCの劇場では、QB以外のカンパニーやイベントも開催される予定です。近郊地域の人びとやダンサーが集まる場所としてだけではなく、QLD州全体のアート・フォームを促進しながら、芸術全般を皆さんにもっと身近に感じてもらえるような、誰でも気軽に立ち寄れる場所になると思います。皆さん、ぜひ新しいTDCでお会いしましょう。
このコラムの著者
岩本弘平/QLDバレエ団シニア・ソリスト
兵庫県伊丹市出身。11歳からバレエを始め、18歳でメルボルンのオーストラリアン・バレエ・スクールに入学。その後、ロイヤルNZバレエ団を経て、2018年にQLDバレエ団に移籍。趣味はウクレレ、スポーツ観戦、睡眠、日本のお笑い。祖母の手作り水餃子の味を懐かしみながら、大好きなウィスキーのグラスを傾ける。