オーストラリアで暮らしていると、「スクール・ホリデー(学校の学期休み)」があれこれと生活に影響することが多い。子どもを持つ家庭はもちろん、子どものいない人にとっても、ホテルや飛行機代が高くなり、予約も取りにくくなり、ショッピング・センターや映画館、ビーチや各駐車場も混雑するため、何かと影響が出てきてしまう期間である。学校に面した道路の制限速度が変わることも多い。
日本とオーストラリアでは北半球と南半球で季節が逆になる上に、学期数も違い(こちらは3学期制ではなく4ターム制)、更にこちらのスクール・ホリデーは一般的に季節と紐付いて認識されていないこともあって、日本で一般的に使われている「冬休み」といった名称はなかなか使い辛い。
そこで英語の「school holiday」をカタカナにしたスクール・ホリデーを在豪日本人同志の日本語の会話に使うことになるのだが、そうなると、よく使う長い言葉はつい省略したくなってしまうのが日本人である。
調査してみると「スクホリ」という言葉を使うと答えた人たちがいた。インターネット上でも、オーストラリア在住者のブログや、在住者向けのクラシファイドで見掛けることがある。「スクホリ オーストラリア」で検索すると「こちらのスクホリは」「スクホリ中の娘」「昨日でスクホリも終了し」「~のままスクホリ突入」「スクホリ企画」「毎度スクホリ中の予定作りに頭を悩ます親御さんにはもってこいの」といった文章が出てくる。
「スクール」「ホリデー」の語頭の2拍(2モーラ)ずつを切り取って組み合わせ、4拍(4モーラ)にするこの短縮の方法は、「各駅停車」が「かくてい」、「デジタルカメラ」が「デジカメ」、人気コミック「スクールポリス」が「スクポリ」となるように、日本語で最もよく使われるパターンである。そしてこういった「スクホリ」のような外来語を4拍の複合語の短縮形にすると、多くの場合はそのアクセントが平板型になる。「パソコン」「ジーパン」「ポケモン」などもみな平板なアクセントだ。
プロフィル
ランス陽子
フォトグラファー/ライター、博士(美術)。現在、グリフィス大学の大学院でオーストラリアの日本人コミュニティーにおける日本語変種を研究中。ゴールドコーストでの調査を手始めに、今後はオーストラリア各地での調査を予定している。在豪日本人が使用している面白い言葉についての情報を募集中。情報やメッセージはFBコメント欄かFBメッセージまで。「ゴールドコースト弁を探せ!プロジェクト」
(Web:www.facebook.com/ゴールドコースト弁を探せプロジェクト)