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 巡りゆくもの/ 花のある生活 – flower in life –

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オーストラリア原産のスチール・グラスをミナヅキの花房を取り囲むように幾重にも巡らせて、葉のリズミカルな循環を意識しています

第50回 巡りゆくもの

 オーストラリア・シドニーで初めていけばなのお稽古に参加した時、驚いたことがあります。ダスト・ボックスの中から、小指の爪ほどのワイヤーくずやナイロン製の物が見逃さず拾い上げられ、しっかりと分別されていることでした。

 また、不要になった葉菜を土に培養する施設を備えている家庭もあり、当地は環境を守る意識が非常に高く、「大人な国」であると感じました。他国でも環境に対する配慮は行われていますが、微生物の単位で生態系を崩さないという徹底したところは、他とはギャップがあるように思われます。

 私の経験の中で、日本のテレビ放送局からの依頼を受け、オーストラリアの日常生活の視点から日本との違いを取材して、それがユーモラスに放送されたことがありました。それがきっかけとなり、NHKラジオ第1、NHKワールド・ラジオ日本からも同様の取材依頼を受けてお話したことがあります。

 放送内容は食品ロスに対する環境保護に関することでした。小売店などで賞味期限間近な品物が回収され、必要とされる所へ分配される試みを取材し、多方面から環境を守る取り組みがあることにインスピレーションを受けました。花をいけることにおいても、不要なものを感じて調和が取れれば、美しいいけばなの姿を表現していけると思います。

 花一輪であっても、何らかの思いがあっていけられています。大地から切り取られた植物で、美しく感じるものを創ろうとするのですから、そこにいけ手の意図するものがなければ、自然の中で咲いている方が奇麗だと、私が学ぶ流儀の初代家元は言っています。ひとたび切られた草花を、自然界にある時よりも価値あるものにしなければ申し訳ないという気持ちで、私は花をいけるように心がけております。いけばなには、そのことを学ぶ面白さが潜んでいます。

 自然から頂いた恵を、身になるように使わせて頂くことはとても大切です。与えられた物は惜しみなく使うことが望ましく、また大切にすることも忘れてはならないのだと思います。

Yoshimi

いけばな作家
Web: https://www.7elements.me/

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