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本屋大賞2023ノミネート作品/オーストラリア紀伊國屋 トレンド・チェック

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 本好きにとって、トレンドに取り残されてしまうのはつらいところ。本連載では、シドニーCBDに店を構え、KINOと親しまれるオーストラリア紀伊国屋書店協力の下、トレンド・キーワードと共に読み逃せない話題の3冊と、日本のトレンドをキャッチするための最新ランキングをご紹介していきます。


 夏の終わりにやっと夏らしくなったと思ったら、そろそろ秋に入り肌寒くなってきた今日このごろ。気温差で体調を崩さないよう皆さん気を付けてお過ごしください。今回ご紹介するのは「本屋大賞」にノミネートされた10作品中の3作品です。書店(オンライン書店も含む)で働く書店員の投票で決定するもので、過去1年の間で書店員自身が読んで「面白かった」「お客様にも薦めたい」と思った新刊書を選び投票します。

協力:オーストラリア紀伊國屋書店
(Level 2, The Galeries, 500 George St., Sydney)





今、売れている本は?

ベストセラー・ランキング(2023年3月1~7日)

■文庫ベストセラー

1お探し物は図書室まで青山美智子ポプラ社
2流人道中記(上)浅田次郎中央公論新社
3流人道中記(下)浅田次郎中央公論新社
4カケラ湊かなえ集英社
5一人称単数村上春樹文藝春秋

新書ベストセラー

1徳川家康弱者の戦略磯田道史文藝春秋
2脳の闇中野信子新潮社
3日本史を暴く戦国の怪物から幕末の闇まで磯田道史中央公論新社
4ゼロからの「資本論」斎藤幸平NHK出版
5ぼけの壁和田秀樹幻冬舎

KINOKUNIYA便り

 だんだんと日が短くなり、冬が近づいて来るのを感じる季節になってきました。日本で秋といえば「読書の秋」です。日本に比べると温暖で陽射しも強いオーストラリアの秋ですが、ここは日本にならって読書三昧といきたいところです。「本屋大賞」は全国の書店員のお薦めの本がノミネートされているので、読書の入り口にぴったりです。お気に入りの作家を見つけて、過去作をじっくり読み漁ってみてはいかがでしょうか。



ランキングからPick up!

カケラ

湊かなえ/集英社

 美容外科医の橘久乃は幼なじみの志保から「痩せたい」という相談を受ける。カウンセリング中に出てきたのは、太っていた同級生・横網八重子の思い出と、その娘の有羽が自殺したという情報だった。少女の死をめぐり、食い違う人びとの証言と、見え隠れする自己正当化の声。有羽を追い詰めたものは一体何なのか──。

今週のトレンド・キーワード「本屋大賞2023ノミネート作品

心に響く“感涙”音楽小説

ラブカは静かに弓を持つ

安壇美緒/集英社(価格:A$40.10<会員価格:A$36.09>)

 少年時代、チェロ教室の帰りにとある事件に遭遇し、以来、深海の悪夢に苛まれながら生きてきた橘は、ある日、上司から音楽教室への潜入調査を命じられる。目的は著作権法の演奏権を侵害している証拠をつかむこと。身分を偽りチェロ教室に通い始めるが、師との出会い、奏でる歓びが、橘の凍っていた心を溶かし出す。

最後に仕掛けられた驚きの事実

月の立つ林で

青山美智子/ポプラ社(価格:A$40.10<会員価格:A$36.09>)

 長年勤めた病院を辞めた元看護師、売れないながらも夢を諦めきれない芸人、娘や妻との関係の変化に寂しさを抱える二輪自動車整備士、仕事が順調になるにつれ家族とのバランスに悩むアクセサリー作家──。月に関する語りに心を寄せながら、彼ら自身も彼らの思いも満ち欠けを繰り返し、かけがえのない毎日を紡いでいく。心震える傑作小説。

読後、心に大切な灯りが灯る

川のほとりに立つ者は

寺地はるな/双葉社(価格:A$37.90<会員価格:A$34.11>)

 カフェの若き店長・原田清瀬はある日、恋人の松木がけがをして意識が戻らないと病院から連絡を受ける。一緒に転落した相手は元同級生。松木の部屋を訪れた清瀬は、彼が隠していたノートを見つけ、恋人の秘密を少しずつ知ることに──。「当たり前」に埋もれた声を丁寧に紡ぎ、他者と交わる痛みとその先の希望を描いた物語。

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