先月は、何らかの障がいを持つお子さんが教育上のサポートを受けるための手順をお話ししましたが、今回は具体的にどのようなサポートがあるのかについてお伝えします。
前回ご紹介した、学校、専門家、保護者、生徒の合同ディスカッションで得られたプランから、4段階のどの「調整」を提供するかが検討されます。4段階の調整とは、特別支援学級でのサポート、補助的な調整、そして、サポートの程度によって2段階に分けられた調整です。
補助的な調整とは、下記のように補助機器の使用や備品などによる調整です。
●教室内の調整:座席、ホワイト・ボードなど家具や備品の改造や明るさ調整
●学習にアクセスするための個人用デバイスなどのテクノロジーの使用
●大きな活字や点字などのテキスト、簡易テキストや視聴覚資料のキャプション
程度による2段階の調整とは以下のようなものです。
●レッスンや単元の内容量または作業量の調整、タスクを完了するための時間の調整、認知的な負担を軽減するための主な用語を教える
●目で合図して答えたり、「はい」か「いいえ」で答えられるように質問の仕方を変えるなど言語・非言語的コミュニケーション・システムに関する調整
●口頭手話通訳者または読者と筆記者などと一緒に授業を受ける
●フィールド・トリップや遠足に参加できるようにするために介助者や介助器具を手配する
●グループ・ワーク、ボランティア、またはピアチューターによる追加のサポート
これらの調整によりどんなことができるか、もっと具体的な例を挙げてみましょう。
例えば、「読む」という学習活動を行う場合、以下のような方法で読書活動に参加することができます。
●テキストを読む前に背景知識を予め生徒に教えておく
●簡体字テキストを読み上げる、記号付きテキストを読み取る
●テキストの内容のオーディオを聞く、キャプション付きの映画を見る
●キャラクター、設定、イベントを表すための視覚的な画像を伴うテキストを読む
●「3レベル・ガイド」による方法を使用してテキストの理解をサポートする
その他、「書く・記録」「リスニング」「コミュニケーション」「フィールド・ワーク」「身体活動」「制作・パフォーマンス」「グループ・ワーク」のそれぞれの具体例が載っていますので、必要な場合は下記ウェブサイトをご覧ください。
■特別支援教育の調整について(NSW州教育省)
Web: https://educationstandards.nsw.edu.au/wps/portal/nesa/k-10/diversity-in-learning/special-education/adjustments
回答
内野 尚子
在豪26年。デイケア、プリスクールAuthorizedSupervisor、補習校の教師兼代表を経て2007年UniversalKIDS設立。19年よりオンラインで保護者や教師向けのバイリンガル教育や子育てアドバイスも行なっている。
Web: universalkids.com.au