コール・ド・バレエ
皆さんこんにちは。QLDバレエ団の吉田合々香です。
今回は、バレエの真の美しさとも言える群舞コール・ド・バレエ(Corps de Ballet)についてお話しします。
群舞というと、背景のように目立たない存在と思いがちですが、Corpsはフランス語で “体”を意味し、まさにバレエの中心「体」となって美しい芸術を生み出す、バレエには欠かせない存在です。
コール・ド・バレエが、一糸乱れず息の合った群舞をする光景は圧巻です。逆に1人でも列からはみ出てしまったり、音楽に遅れて動きがほんの少しでもずれてしまったりすると、観客はその情景から急に現実世界へと引き戻されてしまいます。
彼らは舞台の出来を大きく左右する非常に大切な役目を果たしているのです。
各バレエ団では、オーディションなどで新しくダンサーを募る際、群舞ができるだけ美しく見えるように、背丈のバランスを考えて身長の制限を規定に加えることも珍しくありません。
一体感がとても大切なコール・ド・バレエが舞台上で一列に並ぶ際、群舞の中の個人個人に目が行かないよう、見た目から動作に至るまであくまでグループに溶け込むことが重要とされています。
大勢のダンサーが舞台に1歩踏み入れるその瞬間から呼吸を合わせ、頻繁に移り変わるフォーメーションで美しく万華鏡のように魅了するコール・ド・バレエは、華やかな主役陣の踊りとはまた違うバレエの見せ場を作るのです。
いかがでしたでしょうか。次回は、もう少しコール・ド・バレエについて掘り下げて、具体的にどのような作品で彼女たちが活躍するのかをお話しできればと思います。どうぞお楽しみに。
このコラムの著者
吉田合々香(よしだねねか)/QLDバレエ団プリンシパル・アーティスト
金沢市出身。欧州に4年間留学後、2014年QLDバレエ入団のためにブリスベンに移住。平日はバレエ漬け、週末はお菓子作りや居心地の良いカフェでの時間を楽しむ。リラックス方法はおいしい和食を食べ、お風呂に浸かり、アロマを焚いてぐっすり眠ること。好きな映画は『ジュリエットからの手紙』。