Text&Photo by Taka Uematsu
ブルース・ハイウェイ沿いサンシャイン・コースト某所
ハイウェイを車でかっ飛ばして少し遠出するのは、オージー・ライフの醍醐味の1つ。「そんなドライブにはパイが欠かせない」と書くと、「そんなのおまえだけだ」とツッコミを浴びるかもしれない。実は、結構多くの人が楽しみにしているはずだ。そうでないと、都市間を結ぶハイウェイ沿いに人気のパイ店が点在することの説明が付かない。
オージーの国民食とも言えるパイは、オーストラリアのそこかしこのベーカリーで当たり前のように売られている。どこでも手に入るが故に、当たり外れの振れ幅も大きい。大きな看板に釣られ、いわゆる人気店にピット・インして肩透かしを食らい、ため息と共にリスタートを迫られるなんてこともザラ。
今回は、何度か往復しているサンシャイン・コーストへの道中にあり、ずいぶん昔に1度訪れて悪くなかった印象がある人気パイ店を再訪した。
オージーの車文化の象徴的な存在であるユート(ピックアップ・トラック)、うまい食べ物がある所には必ず現れておこぼれを預かるビンチキン(アイビス)に、それっぽい佇まいのオージー男性。この写真だけなら、よくある場末のパイ店にしか見えないのかもしれないが、それが違うのだ。
店内では、いかにもパイ好きというような人びとが列を成していて、それだけで期待が高まる。各店のパイの優劣を判断するには一番シンプルなビーフ・パイによるべきという愛好家は多いが、筆者の場合はステーキ・ベーコン・チーズ・パイだ。
この店のそれは当たりだった。パイ生地がサクサクで、厚みもしっかりしているので、あふれんばかりの中身をしっかり支えていて食べ応え十分。店の壁にある“Bigger, Better, Beefier”のモットーに偽りはない。
いつもドライブ時にローカルのベーカリーやパイ・ショップでうまいパイを求めていると、もう、サーヴォ(ガソリンスタンド)で冷凍パイの温めたやつなんかを買うことはない。
舌が肥えたのでと言うつもりはないが、今後もドライブがてらうまいパイ探求は欠かせない。