オーストラリアでは6月末に会計年度末を迎え、今年も既に折り返し地点を過ぎました。7月の新年度に併せて、幾つかのビザに関して多少の変更があったものの、注目されていた482TSSビザの改正も7月時点では少し肩透かしとなりました。
その1―学生ビザにおける労働時間
コロナ禍による人手不足を解消するために一時的に就労制限がなくなっていましたが、7月1日より、学生ビザ保持者が働ける労働時間の制限が戻り2週間で48時間となりました。
ただし、2023年5月9日の時点で高齢者介護関連の仕事をしていた学生ビザ保持者に限り同年12月31日まで制限なく就労可能です。
その2―留学生への朗報
23年7月1日から、高スキルを有する若者をオーストラリアに引き留める目的で、サブクラス485ビザの「Post-Study Work」ストリームにおいて、特定の大学で特定の学位を取得する場合にはサブクラス485ビザにおける滞在期限が引き延ばされることになりました。
学士号の課程の場合には2年から4年に、修士号の場合3年から5年に、博士号の場合4年から6年に引き延ばされます。大学卒業後の実務経験を積むには非常に有利な条件となります。
指定されているコースにはSTEM系のコースが多く見られますので、オーストラリアの労働市場において需要のある職種につながるコースであると言えます。政府発表が行われた大学とコースのリストは下記リンクで確認できます。
その3―悲しい実情
オーストラリア政府はDVの被害を受けているテンポラリー・ビザ保持者に対する金銭的な援助をこれまでの3,000豪ドルから5,000豪ドルに引き上げることに決めました。これは、永住権を保有していないテンポラリー・ビザ保持者たちがDV被害を受けていてもビザ上の立場から被害を訴えることができない状況を考慮しての政策です。この金銭援助はオーストラリア赤十字社のリンクで詳細を確認できます。
●Web: www.redcross.org.au/migration/family-and-domestic-violence-financial-assistance-program/
DV被害に関する相談窓口はWeb: www.1800RESPECT.org.au または電話:1800RESPECT(1800-737-732)(24時間)になりますので、1人で悩まずご相談ください。
アドバイザー
清水 英樹
オーストラリアQLD州弁護士。在豪30年以上。地元大学卒業後、弁護士資格を取得。フェニックス・グループCEOとして傘下にあたる「フェニックス法律事務所」、ビザ移民コンサルティング「Goオーストラリア・ビザ・コンサルタント」、交通事故ならびに労災を専門に扱う「Injury & Accident Lawyers」を経営