以前「スクホリ」という小学校から高校までの学期休みを意味する言葉を紹介したが、学校に関する言葉は、日本では使われていないカタカナ語が多くなる傾向が強い。オーストラリアの語学学校や大学、高校に留学する日本人もいれば、移住して子どもをオーストラリアの学校に通わせている家庭も多い。日本の学校で使われる言葉とは少々意味合いが違っている単語が多く、日常的に頻繁に使う言葉ということもあり、在豪日本人の会話にも多く取り入れられているようだ。
まず、幼稚園や保育園は州や対象年齢などによって名称が違うのだが「チャイルド・ケア」「キンディー」「プレップ」「プリ・スクール」「プリ・プライマリー」といった現地での呼び名をそのままカタカナにして使用する人がほとんどである。小学校の準備学年があるなど教育制度が日本とは異なるため、そのまま日本語を当てはめることは難しい。
小学校は「プライマリー・スクール」、中学校と高校は州によって名称が違い「シニア・スクール」「セカンダリー・スクール」「ハイ・スクール」などの呼び方をそのままカタカナにして使用することが多い。
そして大学は英語での略称と同じ「ユニ」となる。
入学申し込みを意味する「アプリケーション」、面接の「インタビュー」、提出の「サブミット」、資格証明の「サーティフィケート」や更に専門的な勉強をした証となる「ディプロマ」、学位の「ディグリー」、学年の「グレード〇〇(例:4年生=グレード・フォー)」や「イヤー〇〇(例:3年生=イヤー・スリー)」なども、そのままカタカナとして取り入れられがちである。
宿題の「ホームワーク」「アサイメント」「エッセイ(小論文)」などもよく使われる言葉だ。
学期を示す「ターム」や「セメスター」、学校でランチ販売をしている売店の「タック・ショップ」、横断歩道の誘導員を意味する「ロリポップ・レディ(手に持った看板が棒の先についた飴玉のような形をしていることから)」、水飲み場の「バブラー」、学校の受付の「アドミニ」、試験の「イグザム」、出席の「アテンダンス」、出欠確認の「ロール・コール」、卒業生の「アルムナイ」もすっかり日本語での日常会話の一部となっていることが多い。
プロフィル
ランス陽子
フォトグラファー/ライター、博士(美術)。現在、グリフィス大学の大学院でオーストラリアの日本人コミュニティーにおける日本語変種を研究中。ゴールドコーストでの調査を手始めに、今後はオーストラリア各地での調査を予定している。在豪日本人が使用している面白い言葉についての情報を募集中。情報やメッセージはFBコメント欄かFBメッセージまで。「オーストラリア弁を探せ!プロジェクト」
(Web:www.facebook.com/JapaneseVariationInAUS)