9月9日、シドニー北郊に位置するチャッツウッド・モールで、日本を愛する全ての人に向けたイベント「Matsuri Festival in Chatswood 2023」が開催された。日本食の屋台や日本文化のワークショップ、和太鼓のパフォーマンスなど活気あふれる祭りに日豪プレスのインターンシップの学生が参加。イベント・リポートをお届けする。
(文・写真=川合由恵)
ダイナミックな和太鼓が披露されたオープニング
同イベントは、主にシドニーを拠点に、官民パートナーシップとして機能し、文化、食、観光、教育、キャリア開発、スポーツ、テクノロジー、イノベーションなど日本とオーストラリアの交流と協力を促進する「japanaroo」の一環として開催。イベントのオープニングでは、ウィロビー市長のターニャ・テイラーさん及びシドニー日本クラブ会長渡部重信さんが法被を纏いあいさつし、鏡開きが行われた。
その後、和太鼓のパフォーマンスが披露され、演奏者のダイナミックなばち使いと気迫あふれる掛け声、息のそろった演奏は、多くの観客を魅了した。
本場の祭りを感じさせる屋台
祭りの見どころは、やはり屋台だろう。会場には数多くの日本食屋台が立ち並んでいた。お好み焼き、カレーライス、たこ焼き、焼きそばなど食欲をそそられるおいしい匂いに誘われて、各ストールは多くの客でにぎわっていた。私は、「ケンちゃんカレー」のチキンカツカレーを食べることに。ホクホクの白米とスパイシーなカレールー、そしてジューシーなチキンカツのおいしさに悶絶した。
出店者の徳本魁人さんは「屋台の外装に力を入れた。現在、いろいろなマーケットに出店しているが、今後より多くの人においしいカレーを届けられるよう、世界に進出していきたい」とチキンを揚げながら笑顔で話してくれた。
日本文化を体感できるワークショップが目白押し
会場内を歩くと、華道、茶道、書道、折り紙、着物の着付け体験など、日本の伝統文化を体験できるワークショップが行われており、多くの人でにぎわっていた。普段触れることのない貴重な機会に、子どもから大人までのローカルの人たちが目を輝かせながら、笑顔で日本の文化を体験していた。
ワークショップを行っていた書家のレンさんは、「書道は、言語という壁があるが、見る・書くという行為を自らの手で行い、より深く日本を実感できる。また、半紙ではなく硬い紙を使用し、自分が書いた文字を持ち手や鈴をつけて、記念品になるようにした」とコメント。会場では、着物姿で「愛」や「夢」などと書かれた漢字を片手に歩く人たちの姿が多く見られた。
主催者の思い
同イベントを主催したシドニー日本クラブ会長・渡部重信さんは、「オーストラリアで日本の文化は浸透してきているが、更に輪を広げ、日豪間の交流の懸け橋となるようにしたいという思いで開催した。チャッツウッドは、盛り上がりを見せる大事な場所なので、オーストラリアの子どもたちにも、異文化に触れる体験を提供し、いつか日本を訪れたいと思ってもらえるようなご縁を作る場になればうれしい」と笑顔で語った。
また、元会長のチョーカー和子さんは、「日本祭りの開催を始めた理由として、シドニーに住む日系の子どもたちは、日本に帰国する際、いつも祭りが開催されているわけではないので、祭りという文化をここにいる人たちに継承し、またさまざまな国の人たちにも伝えていきたい。そして、村祭りのような親しみやすい雰囲気で参加してほしい」と話してくれた。
ローカルの参加者に英語でインタビュー
私は、異国で開催されている日本の祭りで、現地の人の生の声を聞きたいと思い、英語でのインタビューに挑戦した。まずは、書道作品を持って会場内を歩いている人に声を話を聞いた。
─書道を体験してみていかがでしたか。
「手本をまねて文字を書くのは難しかったけれど、とても楽しかった」
─日本文化について特に好きなものはありますか。
「風鈴と折り紙が好き」
英語でインタビューをしてみて、前日に質問は考えていたものの、会話のキャッチボールが難しく自分の英語力は未熟だと感じつつ、日本についてどれくらい知っているのか生の声を聞ける貴重な機会となった。
また、折り紙はローカルの人たちにどのくらい浸透しているのかを知りたかったため、折り紙を折ったことがあるか、10人にアンケートをとってみた。
その結果、「ある」と答えたのは2人だけ。学校の授業や家で折ったことがあるとの回答だった。「ない」と回答した人は、日本について学ぶ機会がなかったのこと。個人的に、この結果には驚いたが、学校の授業の一環で折り紙を取り入れているところもあるようだった。日本の美しい伝統文化がもっと世界に知れわたって欲しいと感じた。
イベントに参加した感想
実際に会場に足を運んで感じたことは、老若男女国籍問わず多くの人が祭りを通して、日本の伝統文化を五感で感じて楽しんでおり、自身も異国の地でどこか懐かしさを感じることができた。この祭りをきっかけに、オーストラリア人に、日本の美しい伝統文化に興味を持ってもらい、更に一歩足を踏み入れてほしいと思った。今後も市民に愛される祭りとしてチャッツウッドで開催され続けることを願う。