「効力が低く、集団免疫が期待できないおそれあり」
オーストラリア・ニュージーランド免疫学会(ASI)は、「アストラゼネカ・ワクチンは効力が低く、集団免疫ができないおそれがあるため、同ワクチン配布の計画を直ちに中止する」よう呼びかけている。
シドニー・モーニング・ヘラルド紙(SMH、電子版)が伝えた。
オーストラリアのコロナウイルス・ワクチン接種の中心となっている同ワクチンは、第III相治験で、推奨用量投与では効力が62%にとどまるという結果になった。一方、ファイザー社、モデルナ社のワクチンはそれぞれ95%の効力が示されている。
同学会会長のスティーブン・ターナー教授は、「これまでに得られたデータによる限りではアストラゼネカ・ワクチンを大々的に採用すべきではない。同ワクチンは効力が低いため、集団免疫確立のために広く一般的に採用するのはためらわれる。他にも優れたワクチンがあり、そちらを優先すべきだ。ただし、効力の優れたワクチンが出回るまでにコロナウイルスの症状を抑えるために用いることはできると思う」と語っている。
感染症専門家のミシェル・アナンダ=ラジャ准教授は、「同ワクチンの安全性に問題はないし、感染患者の症状を軽減する効果があるようなので、その目的に使うことはできるかも知れない」と語っている。
また、オーストラレーシアン・ウイルス学会も1月11日午前中には、「同ワクチンが集団免疫をつくるのに十分な効力があると証明されるまで配布計画を中止する考えを支持する」と返答していたが、その後、学会内で議論が起き、同日夕刻には、「学会としては同ワクチン配布に反対しないことを決めた」と伝えている。また、立場を変更した理由については、「ワクチンに対する一般社会の信頼を損ねたくないこと。また、ワクチンの全体像をまだ把握していないこと。もちろん、もっとも効果的なワクチンが必要だが、現在はまだ同ワクチンについては全体像をつかんでいない」と語っている。
豪医師会(AMA)のアンドルー・ミラーWA州支部長は、「現在のようなウイルス感染を大幅に防止するためには効力は70%、できれば80%以上あることが望ましい」と語っている。
■ソース
Scientists call for pause on AstraZeneca vaccine rollout