難民問題、刑事責任年齢引上げ要求など
国連で31か国がオーストラリアに対して刑事責任年齢を引き上げるよう要求があった。
ABC放送(電子版)が伝えた。
未成年者の刑事責任年齢は国によってさまざまだが、2019年の国連子供の権利委員会は刑事責任最低年齢を14歳とするよう勧告しているが、オーストラリアの州、準州ではまだほとんどが昔のままの10歳を採用している。
しかし、オーストラリアの刑事責任年齢が問題になるのは、刑事事件になる年少者の人口比率で先住民族の年少者が圧倒的な数にのぼっていることが背景にある。
国連の席では、カナダ、フランス、ドイツ、ベネズエラ、ノルウェーなどが31か国の先頭に立ってオーストラリアの刑法制度を改革するよう求めている。
5年に一度、国連全加盟国の人権状況を審査する国連人権理事会の普遍的定期審査でオーストラリアの状況が大きく問題にされたもの。
これに対して、オーストラリア代表は、「連邦、州、準州の法務長官が構成する『法務長官会議(CAG)』で作業グループを設立し、この問題について協議している。決定が出るまでまだ少し時間がかかる」と答えている。
しかし、2020年7月にはCAGが、「刑事責任年齢を14歳に引き上げるかどうかの決定を先延ばしにすること」を決めており、今も、オーストラリアのどこでも10歳の少年が訴追を受け、有罪判決を受け、量刑を言い渡されることが続いている。
その直後、ACTが独自に刑事責任年齢を14歳に引き上げており、他州にも刑事責任年齢の14歳への引き上げに合意するよう求めている。
このようなCAGの動きについて、先住民族アボリジニが主体になっている司法問題提唱団体「Change The Record」のシェリル・アクスルビー共同議長は、「この問題に関して、オーストラリア政府には緊急という認識が欠けている。国内でアボリジニやトーレス諸島人の受刑率、特に若年者の受刑率がずば抜けて高いことが国家的な問題だと認めなければならない。深刻な問題であり、直ちに行動すべきことだ」と語っている。
国連の委員会での要求に対して、アンドルー・ウォルター連邦法務省第一政務次官補は、「10歳から17歳までの年齢層比較で国民全体に占める先住民族の割合は6%にしかならないのに、少年刑務所受刑者は57%が先住民族の年少者だ。しかも、10歳から13歳までの年齢層について絞ってみれば78%が先住民族で占められている。
■ソース
Australia urged by 31 countries at UN meeting to raise age of criminal responsibility