アストラゼネカ・ワクチン、南ア型に低効力との結果

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ただし、今後もアストラゼネカ接種計画に変更無し

 オクスフォード/アストラゼネカ・ワクチンが‘南アフリカで蔓延している「南ア型」コロナウイルス変異株に対して効力が弱いと判定されたため、南アフリカでは同ワクチンの接種を遅らせている。しかし、オーストラリアでは南ア型コロナウイルス変異株が蔓延していないため、同ワクチンの接種を全国的に展開すると発表した。

 シドニー・モーニング・ヘラルド紙(SMH、電子版)が伝えた。

 2月8日にはグレッグ・ハント連邦保健相が、「アストラゼネカ・ワクチンは予定通り3月初めに納入が予定されている。私が主席医務官から受け取った書面でも、ワクチン・タスクフォースのトップを務めるブレンダン・マーフィ教授との今朝の話し合いでも、答申はいずれも暫定的なものだが、アストラゼネカ・ワクチンもファイザー・ワクチンも、コロナウイルス感染症の重症化や死亡を防ぐ上で効力が下がるという証拠は現在のところ見つかっていないとしている」と発表した。

 同日、南ア当局は、臨床データから、コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変種、南ア型(B.1.351)には複数の変異株が含まれており、ウイルスを無力化する抗体の力を抑制する能力があるため、アストラゼネカ・ワクチンでは南ア型をほとんど抑えられないことが確認された。そのため、当局もアストラゼネカ・ワクチン投与を停止すると発表している。

 ただし、同ワクチンが南ア型コロナウイルス感染の重症化や死亡を防ぐことができるのかどうかはまだ明らかになっていないが、南アでの臨床試験に参加していた科学者らはワクチンに期待をかけている。

 アストラゼネカ…ワクチンを共同開発したオクスフォード大学は、万が一必要な場合に備えて変種株に対する効力を備えたブースター接種の開発を急いでいると発表している。

 南ア型コロナウイルスに対するアストラゼネカ・ワクチンの効力の調査はごく少数でしか行われておらず、またまだピア査読も出版もされていないが、感染を10%程度引き下げる効力しかなかったとしている。

 しかし、感染を防ぐことができなくても、感染した場合の重症化や死亡を抑えることができる効果が期待されるため、アストラゼネカ・ワクチンが直ちに無効とされるわけではない。また、今後、さらに有効なワクチンが現れるまでの橋渡しとして限定的に用いられる可能性もある。
■ソース
‘Reality check’: In early data, AstraZeneca vaccine offers minimal protection against South African variant

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