すでに禁止法のあるカリフォルニア州選出議員ら
アメリカでオーストラリアのカンガルーの皮革と肉の輸入を禁止する法案が連邦議会下院に提出された。
ABC放送(電子版)が伝えた。
カンガルー皮は、アメリカでは「k-leather」の名称でフットボール用革靴などに用いられているが、カリフォルニア州選出のサルド・カーバジャル民主党議員とペンシルバニア州選出のブライアン・フィツパトリック共和党議員の共同提出した「カンガルー保護法」が成立すればオーストラリアはカンガルー製品のアメリカへの輸出ができなくなる。カーバジャル議員のカリフォルニア州では2016年以来カンガルー製品の輸入が禁止されている。
NSW州議会のマーク・ピアソン動物正義党議員は、「アメリカで法案が成立すればカンガルー貿易に大きな影響がある。オーストラリアがカンガルーを殺処分して肉や皮革を海外に輸出するというのは国際的な恥さらしだ。結局、外国がオーストラリアの動物の扱いに道義的決定を下さなければならなくない」と語っている。
さらに、「カンガルーはオーストラリアの象徴。国の紋章にも採用されているが、カンガルー産業は陸上動物世界でも最大の屠畜を行っている。オーストラリアの裏庭でこういうことを続けることはできない。ブッシュファイアで何十億という数の動物が死滅したばかりではないか」と語っている。
一方、カンガルー産業業者団体「Kangaroo Industry Association of Australia」のデニス・キングCEOは、「米議会法案は誤解している。カンガルー類でも希少種は殺処分していないし、カンガルーを皮革のために狩ることもしていない。皮革はカンガルー肉を人間やペットの食用に加工する過程で出る副産物に過ぎない。オーストラリアのカンガルーは50種にものぼり、狩猟が認められているのはそのうち頭数の多い6種だけだ。カンガルー産業は年商約2億ドルで3,000人ほどが従事しており、そのほとんどが遠隔地や農業地帯の先住民族だ。米議会で法案が通ればオーストラリアのカンガルー産業は壊滅的な打撃を受ける。カンガルーの肉や皮を商品化できなくなれば、殺処分したカンガルーをそのまま放置して腐らせることになる」と語っている。
また、「全国農業連合会(NFF)や連邦貿易相とも協議し、米議会の法案を通さないよう働きかけたい」と語っている。
■ソース
US Congress to consider ban on kangaroo skin and meat, putting Australian industry at risk