「イスラム過激派」から「宗教過激派」に呼び名変更

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連邦国内情報機関ASIO局長が発表

 オーストラリアの情報機関には、ONI、ASD、ASIO、ASISなどがあり、それぞれ分担が異なっている。国内治安情報機関、ASIOのマイク・バージェス局長の発表として、「イスラム過激派」「極右過激派」「極左過激派」の名称を、「宗教過激派」「思想過激派」に変更する伝えている。

 ABC放送(電子版)が伝えた。

 同局長は、「思想的過激派は平均して年齢25歳前後の男性」と分析している。また、2020年にはオーストラリア国内の機密国防情報にアクセスしようとした海外スパイの「巣窟」を除去したと語っている。

 局長は、「年次脅威評価」の発表にあたり、「ASIOは、英米系5か国で構成するファイブ・アイズ情報機関パートナーの決定に従い、用語を「暴力過激派の脅威」に変えていくと語った。

 それに合わせて、これまでの用語も「宗教に動機づけられた暴力過激派」や「思想に動機づけられた暴力過激派」などに変えられていく。

 同局長は、「我々は市民の宗教的信条を調査するつもりはなく、暴力行為だけが調査の対象だ。しかし、イスラム過激派という言葉ではそのあたりのことがはっきりしなくなる。ムスリム・グループその他のグループは、イスラム過激派という言葉はイスラムに対する誤解を招き、イスラム信徒に対するステレオタイプな見方を助長し、分裂をもたらすものだと考えており、その考えは理解できる。現実の脅威が進化しているのだから私達の言葉も進化しなければならない」と語っている。

 また、「左翼、右翼の過激派という言葉も現在の社会ではもう意味をなさなくなっている。もう左翼・右翼の定義には当てはまらない個人や組織が増えている。彼らは社会崩壊に対する不安や社会的あるいは経済的な不満を動機としている。暴力的な女性差別主義者は『不本意禁欲主義者』別名「インセル」イデオロギーに凝り固まっており、左翼や右翼の定義には当てはまらなくなっている」と語っている。

 さらに、「世界的に民主主義に対する信頼が低下しており、昨年には極右過激派の脅威が高まったことから思想的過激派調査は30%から40%ほど増えている。これは世界的な傾向でもある。もう、スキンヘッズやネオナチのような国家社会主義よりも、社会的不満・経済的不満を動機とする運動になっている」と語っている。

 また、「外国の特定の情報機関がオーストラリア国内で活動し、元現政治家、外国大使館、州警察などとの関係を開発するなどして、『スパイの巣窟』を作り上げていた。ASIOはその巣窟をオーストラリアから追放した」と発言した。

 ABC放送は、その「外国」は中国ではないことを確認したと伝えている。
■ソース
ASIO boss Mike Burgess says agency is ditching ‘Islamic’ and ‘right-wing’ tags, will now refer to ‘religious’ or ‘ideological’ violence

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