「国全体に接種行き渡っても国境閉鎖解除は遠い」

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グレッグ・ハント連邦保健相、開国の約束を拒否

 連邦政府のグレッグ・ハント保健相は、「オーストラリア国民の圧倒的多数がコロナウイルス・ワクチン接種を受けた後も、現在の国境閉鎖を解除する保証はできない」としている。

 4月12日付シドニー・モーニング・ヘラルド紙(SMH、電子版)が伝えた。

 オーストラリアの国境は2020年3月のコロナウイルス・パンデミック宣言と同時期に閉鎖され、原則的にオーストラリア国民や永住権者以外は入国できなくなった。この措置は2021年6月まで続けられる予定になっている。また、海外滞在の36,000人を超える国民や永住権者も国際線フライトの大幅減便や国内各国際空港経由の14日間の隔離施設の受け入れ枠のために帰国が難しくなっている。また、国境閉鎖措置では、オーストラリア国民や永住権者も特別許可またはニュージーランド渡航を除けばオーストラリア出国を禁じられている。

 4月12日、キャンベラでの記者会見で、ハント大臣は、「国民全員が接種を受けたとしても国境閉鎖は予定より長く続くことになる可能性がある。ワクチンだけでは国境閉鎖を解除する保証はできない。感染力、ワクチンの効力の期間、国際的な影響など、まだまだ世界全体が見つけ出さなければならない要因がいくつもある」と発言した。

 さらに、「オーストラリアが現在のウイルスに対するゼロ・トレランスの方針を放棄するのか、現在の方針のままで国境閉鎖解除を累進的に進めていくのか、そういうことは、連邦、州、準州の首班が集まって決めることだ」と語っている。

 海外で立ち往生している国民や永住権者の帰国支援を提唱するstrandedaussies.comのルーシー・モレル氏は、「ハント大臣の発言を聞いて、私達の要望はまったく無意味なのかと不安になった。海外で立ち往生している国民や永住権者は、ビジネス・クラスの航空券を手に入れられるほど豊かではないし、外務省(DFAT)の援助を受けられるほど貧しくもないために無期限に国のない人々のようにさまよわなければならないのか? アンザック・デーが近づいているというのに、国民をコロナウイルス猖獗の地に置き去りにするというのはその精神に反しているのではないか?」と語っている。

 保健専門家は、「世界中がオーストラリアやニュージーランドのようにコロナウイルスを根絶することは不可能だし、結局はインフルエンザのように毎年流行するようになるのではないか」と考えており、豪医師会(AMA)のオマール・ホルシッド会長は、国民全員が接種を受けるよう勧めているが、オーストラリアにとってはコロナウイルス対策として国境閉鎖と入国者の隔離制度は有力な措置だ。開国してもコロナウイルスを抑制できると判断できるまで続けるしかない、と語っている。
■ソース
International borders might not open even if whole country is vaccinated: Greg Hunt

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