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今も中国からの輸入品に豪で禁制の石綿検出

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規制緩い国も多く、使用停止する動機付けなし

 2003年以来、オーストラリアでは微量でも石綿を含む製品の生産、輸入、売買が禁止されており、石綿を含む物質が発見された場合には石綿処理専門業者に廃棄を依頼しなければならない。しかし、海外からの輸入工業製品に石綿が含まれていることがあり、検査ではねられるが、輸入品の全品目を検査することは現実に不可能なため、かなりの量が持ち込まれていると考えられている。

 11月9日付ABC放送(電子版)が伝えている。

 オーストラリアでは過去に建材などに用いられる石綿の鉱山労働者や建材製造労働者が石綿繊維を吸い込むことで30年以上の期間を過ぎてから肺線維症、悪性中皮腫、肺がんなどを発症することが知られており、長年の被害者の運動で2003年に完全禁止になったいきさつがある。

 2021年3月には国境警備部が4個の積荷を検査し、4個とも石綿が含まれていた。9月には中国から輸入された建材に石綿が含まれていた。2020年当初からだと輸入建材、玩具のリモート・コントロール・カー、エンジン・ガスケット、ビリアード・テーブル・アイロンなどから、シドニー湾の新型フェリーにさえ含まれていた。

 石綿被害者協会のピーター・バクスター会長は、「石綿を含んだ物品を壊したりするだけで石綿繊維が空気中に漂うことになる。こういう製品から石綿に曝露される若い世代が将来的に発病することが気づかわれる。特に玩具に使われていると、子供達は玩具を手荒に扱ったり、壊したり、分解したりもする。そのような玩具に石綿が使われるなどあってはならないことだ」と語っている。

 石綿監査員のアンドルー・マントル氏は、「石綿はその優れた耐火性からアジアでは未だに生産流通が合法で、しかも安価なため、あらゆるところに使われており、特に工業製品輸出大国の中国では未だによく使われている」と語っている。2021年9月にはUSGボラル社がプラスターボード原料として中国から輸入した蛭石が石綿で汚染されていた。同社では中国からの蛭石輸入を停止したと発表している。

 中国からの輸入に含まれる石綿について、輸入ブローカーは、「中国では5%まではアスベストス・フリーと認められている。また、中国から輸入する国は世界中にあり、アメリカも少量の石綿混入を認めているため、中国メーカーがオーストラリア向けだけに石綿ゼロ製品を造ることはあり得ない。これはオーストラリアと中国との政府間で話し合うべき事柄だ」と語っている。

 また、豪労組評議会では、「石綿問題を解決する一つの回答として、オーストラリアの技術力を利用することが挙げられる。オーストラリアで生産し、世界に向けて石綿禁止を呼びかけていくべきだ」と語っている。
■ソース
Calls for more testing after asbestos found in imported toys and building materials

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