年明けに上院で審議後賛成多数なら立法化に
患者が任意で決定し、ごく一部に医師の援助を借りて最終的に自死する行為を合法化する立法は、かつては安楽死法と呼ばれたこともあるが、その後、英語名称の変化に伴い、尊厳死法などの言葉を経て、最近では”voluntary assisted dying”(自発的幇助自死)と呼ばれるようになっている。このような用語の変遷はこれが非常に微妙な問題を含んでいることの証明でもある。
11月26日付シドニー・モーニング・ヘラルド紙(SMH、電子版)は、自発的幇助自死法案が数々の修正案を入れてNSW州議会下院を通過したと伝えている。
この日は、NSW州議会の2021年会期最終日だった。そのため、上院では2022年に入ってから同法案の審議を始めることになる。
自発的幇助自死法は疾病末期患者に自死を行い、かつ自死を幇助した者を自殺幇助罪から免罪するもので、患者が自分で判断し、決定する能力を保っており、疾病末期で快復の見込みがなく、延命が苦痛を引き延ばすだけであること、複数の医師の診断を必要とするなど、非人道的な殺人を防止するため、様々な条件が課せられている。
25日には真夜中まで審議が続き、160件を超える法案修正案が出され、42件が可決された。また、同法案を否定する修正案はすべて否決された。
この日、ドミニク・ペロテイNSW州首相や野党労働党のクリス・ミンズ党首は反対票を投じたが、52票対32票で法案が下院を通過した。この法案に関してはペロテイ州首相は与党議員には党議拘束をはずし、良心に基づいた投票を許した。
28議員が共同提案していたこの法案を推進していたアレックス・グリニッジ・シドニー選挙区選出無所属議員は、「今回の州議会は審議の全体を通して素晴らしい議会だった。審議の進行に伴い、法案の成立を妨害する敵対的な修正案を議会が否決する機運が明確になってきていた。州民の3分の2がこの法案を支持しており、議員は州民の意思を代表していた」と感想を述べている。
議会でブラッド・ハザード保健相は、「私は政治生活30年間の初めの29年間は自発的幇助自死の合法化に反対してきたが、今は快復の見込みもなく苦痛だけで生きながらえている人々には自死を選ぶ権利が与えられるべきだと考えている」と発言した。
■ソース
Voluntary assisted dying bill passes final vote in NSW lower house