政府文書報道で連邦警察が捜索令状執行
6月4日、連邦警察(AFP)がニューズ・コープ・メディアのジャーナリスト、アニカ・スメサースト氏のキャンベラの自宅に捜索令状を執行した。
6月5日、AFPがABC放送のシドニー局に捜索令状を執行した。
ABC放送(電子版)が伝えている。
スメハースト氏自宅の捜索は、デーリー・テレグラフ紙によれば、2018年4月に同氏が執筆した記事で、「連邦内務省と国防省が豪政府のいくつかの諜報機関により強力な国民監視権限を与えることを検討している」と述べていることに関して行われたもので、同紙は、「AFPの行為は、政府に不都合な事実を報道する者に対する威嚇であり、民主主義にとって非常に危険な事態だ」と述べている。
AFPは、「国家安全保障に関する情報が無許可で公開された問題でAFPに捜査要請があった」と発表している。
また、ジャーナリスト労組のMEAAは、「AFPのジャーナリスト宅捜索は報道の自由に対する重大な攻撃」と非難声明を出している。
5日朝、AFP職員がシドニー市内ウルティモ地区のABC放送シドニー本社に令状を執行した。この令状は、2017年のABC放送の「The Afghan Files」に関するシリーズ番組に対するもの。
ABC放送のデビッド・アンダーソン理事長は、「ABC放送は所属ジャーナリストを全面的に信頼しており、また情報源を完全に守る用意がある」と発表している。
同番組は、ABC放送メルボルン局所属のダン・オークス、サム・クラーク両氏の調査によるもので、ABCが入手した国防省機密文書に基づいており、アフガニスタン駐留の豪軍精鋭部隊が非武装の男性と子供(いずれも複数)を違法に殺害した容疑が挙げられており、また兵士の間に「戦士気分」が広がっていることが懸念されているというもの。
アンダーソン理事長は、「国営放送のABCがこのような当局の襲撃を受けることは異様。深刻な事態であり、報道の自由に対する侵害を懸念する。国家安全保障や国防の問題に関して公開で点検が行われなければならない」と語っている。
アンソニー・アルバネージ連邦労働党党首は、「捜査対象になっている2017年と2018年の報道と今回の捜索令状の時期が離れすぎている。しかも、連邦総選挙で保守連合が勝利した直後に連邦警察の襲撃があった。政府ははっきりと答える義務がある」と語っている。
■ソース
Australian Federal Police raid News Corp journalist Annika Smethurst’s home over alleged national security leak
ABC’s Sydney headquarters raided by Australian Federal Police over Afghan Files stories