労組VIC州書記長の女性蔑視発言に断
建設林業海運鉱山エネルギー労働組合(CFMEU)はオーストラリア国内の労働組合の中でももっとも勢力のある組織で、労働党にも強い影響力を持っている。
CFMEUのジョン・セツカVIC州書記長が、ドメスティック・バイオレンス根絶運動家として尊敬を受けているロジー・バティ氏を揶揄する発言を行ったことで労働党や他労組の間からこれを問題視する発言が噴き出している。6月9日にはアンソニー・アルバネージ連邦労働党党首が、「私はバティ氏を支持する」と発言した。
セツカ書記長は、これまでにも女性に対するハラスメントでも有罪を認め、書記長辞任を要求する声が挙がっており、アルバネージ党首の明言で、セツカ書記長の進退が問われることになる。
シドニー・モーニング・ヘラルド紙(電子版)が伝えた。
セツカ書記長が「バティ氏のドメスティック・バイオレンス根絶運動で男性の権利が失われていく」と発言したことについて、同日、アルバネージ党首はパースでの記者会見で労働党党首としての見解を求められた。アルバネージ党首は、「セツカ発言は容認できない。バティ氏は偉大な人物であり、全国民の尊敬と感謝を受けるべき人であり、批判を受けるような人ではない。労働党は女性に対する暴力を否定する」と語った。
バティ氏は、息子のルーク君が元夫に大勢の人の前でクリケット・バットで頭を強打されて殺され、それ以後、ドメスティック・バイオレンス根絶のために活動を続けており、「今年の国民」に選ばれたこともある。
これまでに労働党内では、労使関係問題の博士号を持つメレディス・バーグマン元NSW州議会議員が、「セツカ氏の発言は、この20年か30年の労働組合運動の展開をまったく学んでおらず、前世紀の遺物」と批判している。また、独立教員組合のキャロル・マシューズ副書記長は、「女性労組員は、セツカ発言にぞっとするはず」と批判している。また、全豪看護助産労働組合のアニー・バトラー書記長は、「労組は女性に対する暴力の根絶のために尽力してきた。職場での暴力は今もなくならない問題だ」と語っている。
さらに、「セツカ氏の言動で、労組と関係の深い労働党の評価が下がるのではないか?」という質問に対して、アルバネージ党首は、「セツカ氏は労働党内で何の力もない。社会全体として、女性に対する暴力の根絶を阻害するような発言はまったく不適切だ」と語っている。一方、セツカ氏は、「バティ氏を尊敬している。自分の発言は前後関係を無視して曲解されている」と抗弁している。
全豪労働組合評議会(ACTU)のサリー・マクマナス書記長は、「オーストラリアの労組は一貫して家庭、社会、職場の安全に対する労働者の権利を擁護し、ドメスティック・バイオレンスに立ち向かう」との声明を発表しているが、社会公共部門労組のキャメロン・スミス氏は、「ACTUの声明は弱い。上部団体なら、労働運動内部有力者の性差別言動に対してはっきりと弾劾しなければならない」と語っている。また、VIC州労組評議会も同様の声明を発表している。
■ソース
Anthony Albanese declares: ‘I’m on Rosie Batty’s side’