島西部の世界遺産原生林が主な自生地
TAS島の西部の世界遺産原生林を主な自生地とするレザーウッドの花の蜂蜜は独特の芳香があり、しかもクノニア科のこの木がほとんどその地域にしか分布しておらず、本数も少ないため、レザーウッドの蜂蜜はマヌーカやWA州のジャラに次いで高価で取引される。
人里離れた土地に分布することから、気象やブッシュファイアなどの災害にさらされやすく、そのためレザーウッドの蜂蜜を集める養蜂家は世界遺産地域への巣箱の持ち込みを求めている。
ABC放送(電子版)が伝えた。
環境保護派はレザーウッド伐採の停止を求めており、TAS養蜂家協会もレザーウッドの80%が森林伐採のために消失したと発表している。そのため、現在ではごく少数の州内養蜂家のみが世界遺産地域への巣箱の持ち込みの特別許可を受けている。
さらには2018年の夏には乾燥気象が続いたためレザーウッドの花も枯れ、巣箱のミツバチが餓死する悲惨な結果になり、生産量が激減した。その上に2019年初頭の夏には州南西部のブッシュファイアのためにレザーウッドのよく成長した木が焼失している。
TAS州養蜂家協会のピーター・ノリス副会長は、「レザーウッド全体の80%が森林伐採で失われ、さらに世界遺産指定地の拡張で利用できなくなった上に以前に巣箱を持ち込んでいた地域も道路が自然に戻されたため入ることもできなくなっている。また、利用できるレザーウッドは利用し尽くしている。そのため、レザーウッド専門の養蜂家は世界遺産地域への巣箱の持ち込みの許可を広げてもらうことを願っている」と述べている。
ごく少数の養蜂家だけが世界遺産地域への巣箱の持ち込みの特別許可を受けているが、今は許可件数を増やすことが禁じられている。
この週末に州北部のロンセストンで開かれているTAS州養蜂家総会では、蜂蜜に適した樹木の分布する地域への巣箱の持ち込みや将来性のある養蜂産業への確立などが話し合われている。
ノリス氏は、「レザーウッドがたくさん茂っている地域は知られているし、道路さえ再開されればその地域のレザーウッドを利用することもできるのだが」と語っている。
また、養蜂家は、「ミツバチの巣箱をトラックで運び込むためには整地された道路がなければならない。もし、早急に改善されなければ、レザーウッドの蜂蜜の生産量を増やすことは難しいだろう」と語っている。
環境保護団体のウィルダネス・ソサエティは、ミツバチの巣箱を世界遺産地域に持ち込むことよりも、世界遺産地域外のレザーウッドの伐採を停止することを要求しており、2050年までにTAS州の農業を10倍に拡大するという州政府の計画にも疑問を呈している。
■ソース
Beekeepers seek access to Tassie’s remote forests as they struggle to find leatherwood flowers