1,580億ドル減税に選挙敗北の労働党抵抗できず
保守連合連邦政府が選挙前から公約に掲げていた3段階減税の一括法案は、労働党が「無責任財政」として反対の意思を示していた。しかし、5月18日の連邦総選挙で敗北した労働党内には国民が喜ぶ減税に反対したことを敗因の1つとする声も敗北直後からあり、スコット・モリソン保守連合政権は、「政権は国民の負託を受けている」と主張し、労働党に減税案支持を迫っていた。
連邦議会下院をすでに通過していた減税法案は、7月4日に上院も保守連合、労働党などの賛成で通過、成立した。
ABC放送(電子版)が伝えた。
上院では、保守連合に加えて労働党、中道連合、ジャッキ・ランビー無所属議員らが賛成票を投じ、緑の党のみが反対票を投じた。また、ワン・ネーション党議員は棄権、コリー・ベルナルディ議員は欠席した。
法案成立直後、保守連合議員からは拍手が起き、緑の党議員からは「恥を知れ」の声が飛んだ。減税法案成立に伴い、2019年度に遡って減税が行われる。
労働党のペニー・ウォン議員は、3段階の減税案を分割し、第二段階を前倒しにする一方、第三段階を先延ばしにする修正動議を出したが、無所属諸派議員を説得できず、否決されており、それ以上の取引をする力もないまま法案に賛成票を投じるしかなくなっている。その結果、56票対9票で法案は可決した。
モリソン首相は、「これは静かなオーストラリアの勤労国民の勝利だ」と語っている。
ペニー・ウォン議員は、「第三段階は5年先に実施されることになっており、その前に選挙が行われるのだから、国民の負託はそこまで有効ではない。9,500万ドルの減税が可能かどうかも分からないままそこまで決めることは無責任だ」と発言したが、押し切られる格好で賛成票を投じることになった。
緑の党は、「減税は福祉などの財源を奪い、豊かな国民に与える政策だ」として反対を続けた。
■ソース
Government’s $158b tax cuts pass Parliament, giving Coalition first win since election