総額に変更はなく、中国にらみで太平洋州強化に
スコット・モリソン保守連合連邦政権は、「我が国の海外援助使途について目的を洗い直したい」として、海外援助予算配分について大きく見直す考えを明らかにした。
ABC放送(電子版)が伝えた。
この見直しは海外援助の目的、被援助国、援助額などを現在のオーストラリアの取り巻く世界状況とオーストラリアの外交政策に沿って変更するものと考えられる。
オーストラリアの国民総所得額に対する海外援助額の比率は0.2%と非常に低く、世界的な順位でもかなり低い。そのために根強い批判が出ているが、今回も保守連合政権は海外援助総額で増やすつもりはないとしている。
国際開発太平洋担当大臣のアレックス・ホーク議員は具体的な内容について触れなかったが、「援助プログラムについてすでに話し合いが進んでいる。目的、戦略、計画など、これまでの路線を見直すことから始める」と語っている。
現在の包括的な海外援助の大枠は2013年に定められており、ホーク議員は、「当然ながらこの6年で状況が大きく変わっており、政府もそれはよく認識している」と語っている。
これまで見直しを求めてきた海外援助機関は今回の政府の展開を歓迎している。
海外援助機関の一つは、「太平洋地域では競争が激しくなっている。また、アジア地域は繁栄が広がっているが、経済的不平等も大きくなっている。それだけでなく、気候変動が引き起こす気象関係の災害が増えている。援助の効果を高めるためには適切な計画を編成しなければならない」と語っている。
中国が太平洋地域の島嶼国への援助と影響力を強化しているのに対して、オーストラリアでも危機感が高まっており、連邦政府は「太平洋セットアップ」政策の一環として太平洋地域諸国への気候変動関係プロジェクトへの予算配分を拡大することがすでに始まっている。また、インドネシアも東南アジアの経済推進国になっているが今もオーストラリアから巨額の援助を受けている。
見直しは数か月かかる見込みだが、DFAT外からのインプットについては未知数になっている。
■ソース
Australia’s $4 billion a year aid budget to be reviewed, but no change to total funding