英当局の「アサンジ米引き渡し」が今後の焦点に
スエーデン検察庁が、ウィキリークス創設者でクィーンズランド州出身のジュリアン・アサンジ氏に対する強姦容疑を取り下げたことが報道されている。
ABC放送(電子版)が伝えた。
アメリカの公文書公開のウェブサイト、ウィキリークスは、元米軍兵士から漏洩された機密文書を公開し、その中にあった米軍ヘリコプターが地上のロイターのジャーナリストを戦闘員と誤認し、機銃掃射で殺害する現場ビデオは世界に衝撃を与えた。それ以来、米政府はアサンジ氏の身柄確保に動いてきた。
イギリス国内でアサンジ氏が逮捕され、同氏がエクアドル大使館に亡命し、6年後に大使館からイギリス当局に身柄が引き渡され、イギリスの裁判所が同氏を「保釈条件違反」で有罪として禁固刑を言い渡したこともスエーデン検察庁のアサンジ氏強姦容疑捜査に始まっている。同庁は、2010年から17年までアサンジ氏を追及していたが、一旦、取り下げ、その後、アサンジ氏の逮捕を受けて再度捜査を始めていた。しかし、今回、スエーデン検察庁は、「訴えのあった事件の後、かなり時間が経っており、補強証拠もかなり効力が薄れている」として、強姦容疑の事件捜査打ち切りの理由としている。
現在、同氏はアメリカへの身柄引き渡しをめぐって係争中であり、イギリスの刑務所に収監されたままになっている。
また、スコット・モリソン保守連合政権は、「オーストラリア政府はアサンジ氏救出に動くことはない」と宣言している。
米政府は、政府コンピュータへの侵入共謀やスパイ法違反など18件の罪状でアサンジ氏の身柄引き渡しを求めており、2月に引き渡しの可否を決める裁判が開かれることになっている。
アサンジ氏が米政府に引き渡されれば終身刑や極刑もあり得るとされているが、アサンジ氏が共謀したとされるチェルシー・マニング元米軍情報分析者が不名誉除隊され、裁判で改悛の情があったとして短期刑の後、すでに自由の身になっており、極秘資料を受け取って発表しただけの外国人に重刑を科することができるのかどうかなど疑問点は多い。
■ソース
Sweden drops rape investigation into WikiLeaks founder Julian Assange