サウジアラビア政府、サウジ原油値下げを発表
コロナウイルスで経済が揺れている現在、サウジアラビアが原油価格値下げを発表し、エコノミストも1ドル/1リットルの時代再来の可能性を語っている。
ABC放送(電子版)が伝えた。
サウジアラビアの原油値下げの背後にはサウジアラビアとロシアの確執があり、サウジアラビアはOPEC+メンバー国に1日150万バレルの減産を要望したがロシアが拒否したため、対抗してサウジアラビア政府が自国の原油値下げを発表したもの。
ジョッシュ・フライデンバーグ財相は、ペトロール流通業界が値下げ分を消費者に還元するよう要望している。
サウジアラビアがOPEC+に減産を要望した背景にはコロナウイルスの影響で世界的に石油価格が下落しており、サウジアラビアはロシアに対して価格競争で挑戦したもの。
両国の対立で石油価格は一晩にして30%も下がっており、3月9日にオーストラリアの証券市場で1,400億ドル以上の金がかき消えている。
世界の交通機関が依然として石油などの化石燃料に負っている限り、世界の石油生産のシェアを占めている諸国は世界の経済活動と国際関係に大きな影響力を握っている。
世界石油輸出国機構(OPEC)は、世界の産油国14か国の国際カルテルであり、世界の産油量の35%を握っている。
1960年代にはこのカルテルが参加諸国の産油量と価格を統制し、参加国は安定した収入を得、消費国は安定した供給を受けられるようになった。しかし、2017年にはOPEC+と呼ばれる新しいスーパー/カルテルができ、OPEC参加国に加えて10か国の非OPEC国が参加し、世界の産油量の55%までを統制するようになった。ロシアがこの非OPEC国グループを指揮しているが、円滑な運営のためにはサウジアラビアとロシアの関係が大いにものをいうことになっている。
そこに、コロナウイルスの世界的な広がりで2020年の石油需要が大きく減ることが予想されており、世界の原油市場の安定を目指してオーストリアのウィーンで会合が開かれたが、サウジアラビアとロシアの対立が露わになり、オーストラリアのペトロールが値下がりすることになった。
■ソース
Australian petrol prices could soon drop to $1 a litre as oil prices plunge