ルビー・プリンセス企業、税制条約で豪では非課税

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 シドニー・モーニング・ヘラルド紙(SMH、電子版)は、大勢のコロナウイルス感染者と死者を出したルビー・プリンセスの経営会社がオーストラリアではまったく会社税を払っていないと伝えている。

 同船の親会社、英米企業のカーニバル・コーポレーション社は、オーストラリアのカーニバル・オーストラリア社が26億米ドルの利益を親会社にもたらしてはいるが、長年の英豪所得税条約に基づき、オーストラリアでの所得税納税義務を免除されている。

 カーニバル社が2月に公開した年次報告書には、「カーニバル社が外国で経営するP&Oクルーズ(オーストラリア)社、その他のクルーズ船は、UK/豪所得税条約により、オーストラリアでの所得税が免除されている」と述べられている。

 このカーニバル社は世界最大のクルーズ船経営企業グループであり、世界の半分近いシェアを占めている。そのグループのオーストラリア企業がカーニバル・オーストラリア社で、キュナード、P&O、プリンセス・クルーズなどの人気ブランドを抱えている。

 先週、ミック・フラーNSW州警察長官が、NSW州沖合に集まっているクルーズ船について、「彼らはオーストラリアに税金を払っていない。オーストラリアを母港にすることもない。しかも船籍はカリブ海とかのどこかの島だ。もう、帰ってもらった方がいい」と発言している。

 州警察はポート・ケンブラに停泊中のルビー・プリンセスに乗船し、ブラック・ボックスなどの証拠品を押収した他、乗員から事情聴取もしている。

 また、和歌山大学の国際観光学研究センターのジョセフ・チア特任教授は、「クルーズ船は往々にして税制優遇のある国に船籍を置き、便宜置籍船と呼ばれる。ルビー・プリンセスはバーミューダに船籍を置いており、クルーズ企業はごくわずかな税金しか支払っていない。もし、私がクルーズ・ホリデーをするために切符を買ったとして、その金はオーストラリアに留まらず、バハマ諸島かパナマの銀行に払い込まれることになる。だからあんなに安い料金で提供できるのだ」と語っている。

 (SMHは、カーニバル・オーストラリア社にもコメントを求めたとしている)
■ソース
Owner of Ruby Princess cruiser pays no company tax in Australia

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