両国の外交緊張に対して貿易で対抗か
オーストラリアと中国は外交、貿易、コロナウイルスなどいくつかの局面で緊張関係が高まっているが、中国がオーストラリア産大麦の輸入に大型関税をかけると発表しており、中国が実行すればオーストラリアの大麦農家にとっては大打撃になる。
ABC放送(電子版)が伝えた。
オーストラリア側はこれを「威嚇」と受け取っているが、中国側は、この関税の根拠をオーストラリア側のダンピングとオーストラリアの政府の農家補助金制度としており、大麦輸出額15億ドルが壊滅状態になる可能性もある。
豪中緊張の新しい火種は、スコット・モリソン連邦首相が、「コロナウイルスの発生源に関する国際調査が必要だ」と唱えたことからで、成競業駐豪中国大使が、「もし、モリソン首相がそのような調査をいつまでも主張するなら我が国はオーストラリアに対して経済制裁をすることになるだろう」と発言しており、サイモン・バーミンガム貿易相が、「中国大使の発言は脅迫でオーストラリアを屈服させようとするものだ」と反論している。
しかし、現在になって、中国政府は成駐豪大使の威嚇を実行に移す考えとみられ、その最初の犠牲者が大麦農家ということになる。
中国側の主張する「農家補助金」とは、「燃料経費還付金と旱魃支援金制度」とみられており、ダンピング・タリフでオーストラリア産大麦の中国輸出は事実上息の根を止められる可能性がある。
また、政府筋は、「オーストラリアが中国でのコロナウイルス蔓延に関する国際的な調査を提唱しているのに対抗し、中国側は農家に対する不当な経済援助を調査するという名目でオーストラリア産大麦への関税を正当化するつもりだろう」と判断している。
オーストラリアの大麦生産量の半分ほどが中国に輸出されており、中国への輸出農産物のトップ・スリーに数えられているが、2018年以来、中国側からダンピングとの主張が続いている。
■ソース
Australian farmers caught in the middle as China expected to announce tariffs that would end barley trade