中国大使館、「国際法違反」と反応
香港民主化運動に対して習近平中国政権が香港国家安全維持法を導入し、1997年にイギリスが香港を中国に返還した際の約束であった一国二制度が事実上崩壊した。これに対してイギリスが一定条件を満たす香港市民にイギリスの市民権を与える考えを明らかにしていたが、オーストラリアも香港市民に対するビザ延長を認める考えを明らかにした。
これに対して駐豪中国大使館は、「オーストラリアは国際法違反」と反応している。
ABC放送(電子版)が伝えた。
オーストラリア政府はオーストラリア・ビザを保持している香港市民のビザを延長し、さらに永住権を与える道も明らかにした。その他にも、中国政権が個人の自由や政府批判を弾圧していることに対して、香港との犯人引き渡し協定も停止すると発表している。
豪政府の発表に対して、駐キャンベラ中国大使館は、「オーストラリア政府の発表した根拠のない非難と行為に対して強い遺憾と反対の意を表する。オーストラリア政府の行為は国際法違反であり、基本的な国際関係慣行にも違反し、中国の内政問題に大きく干渉するものである。香港問題は中国の内政問題だ。オーストラリアは「外国政府の内政干渉に反対する」と言いながら、自らは中国内政に干渉し、香港問題でも無責任な発言を行っている」と述べている。
スコット・モリソン連邦首相の発表した内容は、すでにオーストラリア・ビザを取得し、オーストラリアに在住する香港市民に対してビザ延長を行い、オーストラリア国家が保護し、オーストラリアに留まる道を提供するとしている。その対象となるのは、現在、オーストラリアに在住し、有効なテンポラリー労働ビザまたは学生ビザを保持する者となっている。ただし、人道ビザに関しては明らかにせず、従来通りに人道ビザを申請することもできるとのみ述べている。
それとは別に、オーストラリア政府は、事業の拠点を香港からオーストラリアに移すことを考えている事業を誘致する考えも明らかにした。
中国政府が香港国家安全維持法を成立させたことに対してはオーストラリアを含めたいくつかの国から批判が出ており、同法が香港に適用される以上は、オーストラリアが香港と結んでいる犯人引き渡し協定を維持することはできないとして、この協定の停止も明らかにしている。
野党労働党も政府の措置を歓迎する旨を発表している。
■ソース
Chinese embassy accuses Australia of violating international law after Hong Kong visa extensions announced