連邦政府の「外交関係法」が連邦下院通過

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州、自治体、大学の外国との取引に連邦の拒否権

 12月8日、連邦政府の提出した「外交関係法」が修正案無しで連邦議会下院を通過した。

 ABC放送(電子版)が伝えた。

 この法律は、州、地方自治体、大学などの公的機関が外国政府や外国企業との間に結ぶ取引に対して連邦政府の外相の拒否権を規定している。

 連邦政府は2020年8月に法案を発表したばかりで、コロナウイルス・パンデミックのさなか、3か月あまりで立法成立した。

 8月にスコット・モリソン連邦首相が法案を発表した時には、「特に特定の協定を対象にしていない。原則論的な問題だ」としており、「外国との取引について連邦、州、地方自治体の間で見解の統一を図るものだ」と語っている。

 しかし、現実には、州政府や大学機関が外国、特に中国と結んだ取引に対して連邦政府が不快感を示すできごとがある。その一つに、2018年にVIC州労働党政府が中国と結んだ一帯一路(BRI)覚え書き(MoU)がある。このMoUの内容については連邦と州の間で激しい対立が生まれている。

 VIC州政府は、「この覚え書きは法的拘束力はなく、VIC州には特定プロジェクトを支持する義務はない」としているが、連邦政府は、BRIが中国政府の国際的な影響力を高める戦略と見ており、この中国の対外政策にはますます反対の態度を強めている。

 さらに連邦政府は、中国政府がこのような協定を利用して、オーストラリア国内を分裂させ、さらには大規模なプロジェクトに対して国内のコンセンサスを突き崩すことを図っていると疑っている。

 その他にも、オーストラリア国内のいくつかの大学が、敷地内に中国政府ひも付きの孔子学院の開講を許したことにも、スコット・モリソン連邦政権は神経を尖らせている。

 連邦下院の中国懐疑派議員は、同学院を中国政府の宣伝機関と見なしており、「新法が成立すれば、そういった学院は厳しい点検を受けるようになる」と警告している。
■ソース
The Federal Government’s new foreign relations laws have passed Parliament. Here’s what that means

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