オーストラリア研究チームが新ゲノム解析テクニック
シドニーの研究チームが、ゲノム解析テクニックを用いてわずか4時間でコロナウイルス感染経路を判定する技術を開発した。
シドニー・モーニング・ヘラルド紙(SMH、電子版)が伝えた。
開発したのは、NSW Health Pathology、Garvan Institute of Medical Research、NSW大学Kirby Instituteの研究チームで、既存のシークエンシング技術を利用して感染者のウイルスの株を判定し、感染経路を突き止める手法を編み出した。
この技術はナノポアと呼ばれるもので、先週、シドニーの隔離ホテルになっているノボテルの清掃係員が海外からのコロナウイルスに感染した際にゲノム解析で4時間で感染源のホテル隔離者を突き止めることができた。これまでゲノム・シークエンシングは2日から3日かかっていた。
解析時間の短縮について、NSW Health Pathologyのビル・ロウリンソン教授は、「ウイルスのシークエンス全体を知ろうとすれば2,3日かかるが、他のウイルスとの比較を知りたいだけであれば2,3時間もあればできる」と語っている。
さらに、ゲノム・シークエンシングに「ショットガン・シークエンシング」法を使うことで、州保健局も清掃係員の感染したウイルスが、当時同ホテルに滞在していたアメリカの航空会社乗員から検出されたウイルスと同株であることが突き止められた。
ゲノム・シークエンシングは、ウイルスの変化をマッピングする方法で、どこから感染したかを突き止めることができる。これまでもシドニー都市圏南西部カシュラのクロスローズ・ホテルのアウトブレークがメルボルン出身の男性からの感染であることを突き止め、また、アデレード市で起きた一連の感染も、当時イギリスから帰国してホテル隔離していた人物からの感染であることを突き止めている。
12月10日発行された「Nature Communications」で、この技術をコロナウイルス追跡に用いる場合の分析的検証や最良実施ガイドを説明している。
■ソース
‘New kid on the block’ finds source of COVID-19 infections within hours