QLD大学コロナウイルス・ワクチン候補開発中止

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一部のボランティアにHIV偽陽性判定

 12月11日付シドニー・モーニング・ヘラルド紙(SMH、電子版)は、QLD大学(UQ)と国内バイオテック企業CSL社が、開発していたコロナウイルス・ワクチン候補の開発を停止すると発表したことを伝えている。

 このワクチン候補はオーストラリア連邦政府が10億ドルの予算で5,000万回強を購入予約していたが、治験参加者数人がHIV偽陽性の反応を示したため、開発を停止したと伝えられている。

 UQは、この治験初期データを連邦政府に提出し、連邦政府はこれを保健局に照会、医学的な答申を求めている。

 UQワクチン候補治験について詳しい筋の情報によると、過去何週間かの病理検査で、治験参加者のHIV陽性は偽と判定されており、HIV擬陽性患者に健康上の危険はない。

 スコット・モリソン連邦首相は、「内閣国家安全保障委員会は、医療専門家の勧告に従い、このHIV偽陽性患者問題がコロナウイルス・ワクチンに対する信頼を著しく損ねる可能性があることを認め、UQ開発ワクチンの購入契約を破棄することを決めた」と発表している。

 さらに、「政府はこのような事態を予期し、備えてきており、それに従って決定を下した。ワクチンが不成功であった場合に備え、複数の開発者と契約を結んできた。今後、オクスフォード大学/アストラゼネカ社のワクチンを新たに2,000万回分確保しており、ノボバックス社のワクチンを1,100万回分確保し、UQワクチンの5,100万回分の欠損を補填する」と語った。

 さらに、「この措置によりメーカー生産開始を前倒しにしてオーストラリア人口全体への接種開始はむしろ早まることになる」と語った。

 UQのワクチン候補は、コロナウイルス・スパイク・タンパク質と、UQ開発の「molecular clamp」を持つタンパク質とアジュバント・プラットフォームを採用しており、エイズを引き起こすヒト免疫不全ウイルス(HIV)の一部を使っているが、このウイルスの一部が人体内でHIV感染を引き起こすことはない。しかし、一部の人の間ではこのウイルスの断片に免疫系が反応し、不完全な抗体をつくり、この不完全な抗体がHIV検査で偽陽性の結果になったと考えられている。

 同筋は、「参加者には、検査でHIVマーカーが見つかる可能性もわずかながらある、と説明されていたが、研究者は実際にHIVマーカーが検出されるとは予想していなかった」と語っている。
■ソース
Australian COVID vaccine terminated due to HIV ‘false positives’

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