国内果樹園は人手不足で果実価格高騰も予想

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コロナウイルスでバックパッカーも国内労働者も途絶え

 2020年/21年の果実が熟す時期、国内果樹園は果実がたわわに実ったまま摘み取る人手がないため腐って落ちる一方、青果市場では供給不足で価格が高騰するおそれが伝えられている。

 シドニー・モーニング・ヘラルド紙(SMH、電子版)が伝えた。

 オーストラリアの農園は収穫にバックパッカー、ワーキング・ホリデー・メーカーなど若年外国人旅行者や、太平洋島嶼国からの特別ビザ季節労働者に依存しているが、今年はコロナウイルスのため、若年外国人旅行者が底をついている。この危機はかなり以前から警告されていたが、どの州政府も外国からの労働者を安全にオーストラリア国内に招く手続きを用意しておらず、このまま警告された危機状態に入る見通しになっている。

 連邦政府は、国内の失業者を果樹園の短期雇用に応募すれば上限$6,000の転居経費を連邦政府が補填する計画を発表していたが応募したのは355人にとどまっており、農園の仕事は都市部の若年失業者にも嫌われている。

 VIC州の農園でも果実は既に熟し始めており、この何週間かの間に26,000人の人手を必要としている。

 一方、12月11日には、連邦政府が、「農園での隔離や州間移動規制などの特別規制案を提出すれば、連邦政府としても太平洋島嶼国からの季節労働者ビザを認可する」と発表していたが、デビッド・リトルプラウド農相が、「全国閣僚会議では各州がこのような特別規制案を独自に編成したいとしていたが、残念ながらこれまでにひとつも州からの特別規制案が出されなかった。各州政府が事態の重大さを理解しないなら、果実は果樹園で腐り、消費者は店頭で高い果実を買わなければならなくなる」と語っている。

 政府の農業予報担当者は、労働力不足のため、この夏の野菜、核果、リンゴ、ナシ、生食用ブドウなどは15%から25%程度高値になると予測している。

 一方、比較的コロナウイルスの入り込んでいない太平洋島嶼国10か国にはオーストラリアに来ることが予定されていた労働者が22,000人ほどいる。国内農業団体AusVegのタイソン・キャトル氏は、「業界で必要として保障されているのはその程度の人数だが、州政府が入域を認めればということだ。そのため、私達としても太平洋島嶼国との間に、ニュージーランドと似たトラベル・バブルを設定して欲しいと政府に陳情している」と語っている。
■ソース
Fruit-picking baskets empty as labour shortage begins to bite

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